仕事おさめ

2023年も終わりました。
ながかったコロナ禍も明けて・・気づいたら印刷や紙の需要はどんどんと減ってきているそうです。
けれども、前回のお話のように紙や本ってやっぱりいいよねーって話も耳にするようになった気がします。

つい先日、こんな記事を見つけてびっくり。素敵なお話です。
ぼく本屋。店内にめちゃくちゃ人いる。本がすごい勢いで売れてく。世界からスマホが消えたと思うくらい売れてく。紙の本のターンがきた感じがする! - Togetter

実は紙と印刷にはさらに掘り起こせる深みや楽しさ、まだ発見されていない役割があるんじゃないかな、と思っています。
それを私たちの小さな工場でコツコツと試行錯誤を重ねながら、世の中に問う!っていうと大層なので、ノックする程度に世間様にお伺いを立てていきたいと思います。

写真は今年の仕事を終えた製本現場。ほんとうにお疲れ様でした。

クリスマス明けの手紙

先日、クリスマス明けに素敵な封筒に入った手紙が届きました。
おそらくは筆ペンで書かれた縦書きの筆致、これは高知の西村さんからのものとすぐわかります。

西村さんは少し年下の高知の印刷会社の素敵な経営者。
いつも何かと印刷について教えてもらったり相談させてもらっているという関係です。

つい先日の話です
インターン中の専門学生が
製本に何より夢中で
最終日に涙ながらのの発表
これには思わずもらい泣き
デジタルネイティブ世代だからこそ
紙への価値親が全く違って新しい
こんな感覚で一緒に創っていきたい

何ともすてきなお話。
すてきなお話をすてきな封筒と便箋、手書きで!
慌ただしい年末にめっちゃハッピーな気持ちにさせてくれました。
西村さんご本人にお許しを得て掲載してます。西村さんありがとう!

カレンダーシーズンを終えて

半年ぶりの投稿。

秋から忙しくしていたカレンダーの受注も12月の2週目には落ち着いてきます。
この年末のカレンダー商売について少し。おそらく大半の印刷会社がカレンダー会社さんへ既成カレンダーに名入れ印刷をお発注、それを仕入れてお客様に販売する、という流れ。これはこれで当社も毎年続いているのですが、10年ほど前に、自社の印刷工場でも小ロットだったらカレンダーを作れるよね、ということでネット限定でカレンダー販売を始めました。
当初、数種類のプラケースに立てるタイプの卓上カレンダーを販売するだけだったのが、今は壁掛けカレンダーやリング製本、壁掛け、日めくりカレンダー、3ヶ月カレンダーとどんどん商品が拡がってきています。
形状もデザインもさまざま、暦もいろいろ、お客様それぞれのこだわりや用途、要望を聞くことができて、とても面白い商材だと感じます。

いつのまにか、私自身も世の中の紙製カレンダーが大好きな人間になってしまいました。
紙も印刷も製本もそれぞれがすでに素敵なのに、それがひとつに合体してる。さらには歴史や暦もとっても奥深い。けれど、全く新しいものも創り出せる。それを社内のみんなで作り上げられるという幸せ。
まだまだ小さな商売ですが、楽しく成長させていきたいと思います。

写真は台湾の街角の食堂での日めくりカレンダー。中華圏では街の食堂、商店、あげくはタクシーの運転席まで、あらゆるところで目にするので楽しいです。

日めくり。1年の半分経過です。

6月30日になりました。1年の半分が過ぎたことになります。

私の、”日本の伝統的な日めくりカレンダー”への偏愛が高じて、当社で細々と開発をつづけている日めくりカレンダーも、横からみるとキッチリと半分になりました。耐久テストも兼ねて毎日めくっています。

7月を前にして、カレンダーの紙の厚さが半分になったわけですね。見たまま、とてもわかりやすく、日めくりカレンダーを愛してしまうポイントのひとつです。

A6サイズの日めくり



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それとミシン目の工夫で、毎日めくっていくと溜まりがちな"ちぎりカス"はいっさいでない、というところも個人的に気に入っています。

 

下の写真。こちらはタテ6cmくらいのちっちゃい日めくり。マッチ箱を横に並べてます。

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私たちのこのヘンテコな製品、需要はあるのかなとちょっと不安でしたが、ちょこちょこと引き合いもいただきながら受注に至ったものもあり嬉しい限りです。

 

RGBデータからのデジタル印刷

個人で写真を仕事や趣味にされている方から、写真集の印刷・製本を依頼されることがよくあります。

データの入稿にあたって、デジタルカメラの撮影はRGB(sRGBやAdobeRGBなど)で入稿され、それを私たち印刷会社側でCMYKに変換、印刷するというのが通常の流れとなります。

RGBからCMYKにデータを変換して印刷する際にどうしても元のRGBで撮影したときの色と印刷物の色が合わないという問題が発生してしまいます。そのため、印刷のシミュレーター的なインクジェット印刷機で色校正をしたり、実際に本番で使用する印刷機で本機校正をしたりして、データを補正してイメージ通りの色で印刷できるようにする、ということを行います。

以上はオフセット印刷機を使う写真集の色校正から印刷の流れ。オフセット印刷なので少なくとも千部前後以上の部数があれば、こういう流れになります。ではもっと小ロットだとどうするのか?となると登場するのがデジタル印刷機。

数十部といった少部数、コストを考えるとオフセット印刷では考えられない部数でも印刷できる、というメリットは以前から変わらないのですが、近年のデジタル印刷機の進化により、印刷データや印刷する紙との相性次第ではデジタル印刷の方が美しく印刷できる場合もある、ということもわかってきました。

おまけにRGBデータをCMYKに変換してという工程をすっ飛ばして、RGBデータをそのままデジタル印刷機に入力して印刷、という機能も備えるようになっています。

 

sRGBデータやAdobeRGBで撮影された建築写真のデータを使って、RGB入稿のデジタル印刷写真集をつくってみました。社内で評価してみたのですが、予想以上にキレイな写真集となりました。

表紙は同じ紙。製本も同じヨコ型A4。本文を3種類の紙で印刷しました。



この写真では全然わからなくてスミマセン。いちおう上からOKトップコート(コート)、エアラス(ラフグロス)、サテン金藤(マット系)です。甲乙付けがたいどれも素敵な仕上がり。

オフセット印刷の苦手な小ロット領域の代替として捉えられてきたデジタル印刷ですが、すでにオフセット印刷の実力を超えはじめていることを実感します。

 

 

温度・湿度管理の見える化

印刷現場、紙を扱うにあたって温度・湿度管理は必須です。梅雨時は湿度が高くやっかいなのですが、それよりも冬場の乾燥が大敵。紙は生き物ですよ、とよく言われるのですが、乾いた空気に長時間さらされた紙が、水を使うオフセット印刷機を通ることで伸縮をおこして様々な品質トラブルが発生します。
そうならないように、巨大な加湿器や温度湿度計を工場に配置しているのですが、それでも困ったことが。
冬場の工場、午前中は温度が下がりきっているので暖機運転が必要。暖房を十分にきかせて室温が上がると今度は湿度が急激に低下します。さらには、北側の壁に面している場所、換気扇に近い場所、出入り口に近い場所、といった工場内の場所によっても温度変化がそれぞれ違ったり。このように工場内での温度・湿度の急激な変化があることで、どこをどう対策すればトラブルの起こりにくい工場環境になるのか、というのは悩みのたねでした。

そこに(株)リコーさんから朗報が。とっても賢い環境センサーが発売されたのです。
固体型色素増感太陽電池 RICOH EH 環境センサーD201/D202 | 環境発電技術 | 産業向け製品 | リコー

ひとつのセンサーモジュールが1万円台。これで温度湿度が24時間365日計測できるという優れもの。
なんといっても、電池が不要というのがすごい。
このモジュールがbluetoothでタブレットとリアルタイムで交信、wifiで繋がったPCに温度湿度変化を記録しつづけてくれます。

工場内の環境改善のためには、正しい計測が肝となります。
いままではなんとなく「12月から2月の夕方が一番湿度が下がりやすいかも?」という感じのフワッとした印象でしかわからなかった空気の変化がすべて把握できるようになるのです。リコーのIoT万歳!と叫んでしまいました。

右上の正方形の小さな四角形がこの製品です。太陽光パネル付きで給電不要ってすごい!

ということで10台以上購入を決め、現在テスト運用中。同業者の方、本当にオススメです。

白髪と雀

頭髪の白黒比率が、加齢とともに少しずつ白髪優勢に傾きつつあります。

ところで。

先日、会社の近所を電話しながら歩いていると突然スズメが私の頭部に飛んできて、約30秒ほど滞在しました。もちろん人生初の体験です。頭皮にスズメの爪先を感じられるなんて、ちょっぴり幸せ。

人に話すと「巣作りのための枯れ枝と間違えたんじゃない?」と言われました。なるほど。

「スマホ2台持ってなかったら電話しながら自撮りはできなかったよね、よかったね。」とも。なるほど。

以来、スズメを見るとこっち来ないかな?と少し期待するようになりましたが、もちろんこれっきりの体験です。どうでもいい話ですが。


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