反社セミナー

先日、所属する業界団体である大阪府グラフィックサービス協同組合のセミナー、題して
暴力団から仕事を受けない!」
を受講してきました。


大阪府警のこの道20年のベテラン警部さんに講師をお願いし、指定暴力団をはじめとする反社会的勢力の現状と、反社会的勢力に協力するような商取引は違法、ということをとてもわかりやすくご説明いただきました。

もちろん、当社を含めて多くの印刷会社は反社会的勢力とのお取引はありませんし、またそういった印刷物を依頼されてもお断りすることになっています。
ただ、「暴力団関係とは知らずに受注して、原稿を見てからわかった」や、「きちんとお金も払ってくれて正規な手続きで受注したら、通常のお客様と同様に扱っていいのか?」などの場合にどう対応するのか、などの微妙なケースについては大変勉強になりました。(このどちらのケースも、一度受注していても、途中でお断りしてください、ということでした。)

90分のセミナーがあっという間に終わりました。最初はある程度の義務感も手伝って受講された方がほとんどだと思うのですが、多くの参加者が口を揃えて、「来て良かった!」というセミナーでした。

次の日、営業部のみんなを集めて、セミナーで学んだことを共有。
再確認の意味で営業メンバーに、反社との接触はあったことがあるかどうかを聞いてみたところ、かつても今も全くないことが確認でき、少しほっとしました・・



コンプライアンスとひとことで言っても、その中身は広くて深いなと思います。
また「正しいこと」の定義も世の中の変化に伴っていきます。正しさ理解のアップデートも大事。実に勉強になったセミナーでした。


お土産にいただいたステッカー、早速入り口に貼りました

自由研究ツアー

もう8月も終わり。
夏といえば、ここ最近の軽い憂鬱が子供の自由研究。

自分が小学生だったときは、かくも自由研究が親の負担を強いるものとは知りませんでした。
読書感想文と自由研究は夏休みの宿題で親が頭を悩ませる2大ストレスだと思います。

しかし親としては、あまりに子供を手伝うあまり、ほとんど親が自由研究を作成するのもいかがなものかと思いますよね。
なので、まずできることとしては、子供に興味をもってもらえのそうなイベントに足を運ぶことくらい。

そのひとつ。先週に行ってきましたMini Maker Faire Ogaki。岐阜の大垣です。
"Mini Maker Faire Ogaki"。

数年前から工学系の人だけでなく、デザインやアートな人たちも大いに巻き込んで盛り上がっているものづくりのムーブメント「Maker」のイベントです。

勝手な事前予想としては話題になっている3Dプリンターが中心なのかなと思っていたのですが、予想は嬉しく裏切られました。

ありとあらゆる「ものづくり」、コンピューター、電気回路から木工まで、手を使って自分たちの作りたい、表現したいという思いたっぷりの方々がズラーッと、おそらく100を超えるブースが。ワークショップあり、プレゼンテーションあり、巨大戦車からプラネタリウムまで、ありとあらゆる「個人で作ったモノ」が展示されていました。


「はんだごてプリンセスあいんちゃん」のお姉さんにはんだづけを習う子供たち。

見た目は奇天烈やなぁと思いましたが、少しお話しすると子供への工作教育の研究をされている一環だそう。こりゃすごい、立派

LEDに抵抗をはんだづけして、人形ができあがりました。

他にも刺激的な展示が山盛りで、わざわざ2時間かけて大垣まで行った甲斐がありました。





帰りには一度行きたかった、養老天命反転地へ。

screenshot

ここも超おすすめ。夏休みだというのにガラガラ。荒川修作という方のすごさを十二分に感じてきました。
この養老天命反転地、森田真生さんという数学者の存在を知ってから、この方がよく荒川氏の話をされるので俄然興味がわいていたのです。

ただの公園だと思っていたらえらい目に遭いました。親も子供も大喜びでこの凄い空間を満喫しました。

新しい製本方法

PUR製本ができるようになりました。

弊社の手がける製本には大きくわけて二つの種類があります。
まず一つ目が中綴じ。これは二つ折りを重ねた紙を、ホチキスでとめたようなものです。
小冊子や、ページ数の少ない(大体4ページから24ページくらい)ものに使われる製本方式です。

もうひとつがくるみ綴じ製本。
いわゆる書籍、本といえばこの綴じ方がポピュラーです。
表紙を本文にぐるっと巻いて(くるんで)いるのでくるみ綴じ。

書籍の製本には古くから糸を使われていました。
けれどもこの製本方法では糸を使わず糊を使うので無線綴じ(線=糸が無い)とも呼びます。

EVAホットメルトという糊を使って製本される従来の無線綴じも、本の形に仕上げるには、コスト、強度、見栄えも十分に優れた製本方式だったのですが、本を開いたときに、しっかりとノドの部分(本の奥の部分)まで開きにくい、という難点がありました。
通常の本にするには何の問題もないのですが、例えば
・見開きの絵本
・見開きの写真集
・ノートなど、広く開いた方が使いやすいもの

などで、ページ数が多くなると一度開いても本が勝手に綴じようとする力が働きます。

今回導入された新しい製本方式、「PUR製本」はこの難点がかなり解消されています。

EVAホットメルトという糊ではなく、PUR(ポリウレタン系)ホットメルトを使うことでより開くことのできる本をつくることができます。

製本という伝統的な世界で、新しい本の作り方が開発されるというのはあまり無いことです。

このPUR製本も、見た目は従来の無線綴じと何ら変わりはありません。
けれども、「本がよりしっかり開く」という最も本質的なところに改良を施すことができるというのは素晴らしいことだと思います。
難点は、糊の性質上、数百冊以下の小ロットでは利用できないことと、EVAホットメルトにくらべて納期をいただかないといけないこと。
これについては弊社内での改善を重ねていくべき課題としています。

今後はこのPUR製本を上手に利用し、皆さんに「十分に丈夫で、かつ使いやすい本、冊子」をご提供していきたいと思います。

QRコード

先日、弊社のウェブサイトでQRコードを自由に作成できるサービスをリニューアルしました。

http://qr.ag-media.jp/
「QRコード自動生成サービス QR Code Builder」

以前から複数のQRコードを作ったらいくらぐらい費用がかかりますか?というような問い合わせが多かったので、作ってしまった次第です。
1つのデータから1つのQRコードをつくれるサイトはあるようなのですが、このサービスの良い所は一気に複数のコードを生成できるところです。

当社としては、QRコードを生成するだけでお金をもらうのは居心地の悪いところもあります。私たちの本業はあくまで一枚一枚違うデータを正確かつ迅速に印刷することが本業だと考えているので、もしお役に立てるのであればどうぞ・・・とひっそりと公開しています。今のところ無料です。今後も有償にする予定はありません。(サーバに負荷がかかったら何らかの制限は加えるかもしれません。)

ただ、例えばひとつの名刺サイズぐらいのカードに、1万種類の名前、メールアドレス、ID番号などなど・・と印刷する必要がありましたら、そこは弊社の本業領域です。
これは従来同じデザインや文字を大量に印刷する一般の印刷と区別する意味で、「バリアブル印刷」「可変印刷」と呼ばれています。年賀状の宛名印字を想像してもらえるとわかりやすいかもしれません。
従来は請求書を短時間の間に大量に印刷する、などの帳票類で使われていた技術なのですが、最近はトレーディングカードやキャンペーン配布用のカード、シリアル番号を入れなければいけない印刷物などにも応用されているようです。



ちょっと話は飛びますが、このQRコード、もともとデンソーのグループ会社、デンソーウェーブが開発した技術なのですが、仕様をオープン化して特許の権利行使をしなかったのでここまで世界中に普及したのだそうです。
これはデンソーウェーブさんのサイトにある開発物語です。素敵なお話。

道のり|QRコードドットコム
http://www.qrcode.com/history/

LEDのUV乾燥装置

昨年、大阪府中小企業中央会より「大阪府ものづくり補助金」の募集がありました。
設備導入や施策に対していくらかの補助をいただけるというものです。
以前より当社にある印刷機を改造できればなぁと思っていたので、渡りに船とばかりに補助金の申請書を頑張って書いてみました。
そして・・運が良かったとしか思えないのですが、昨年の秋にこの申請を採択していただくことができました。

テーマは「LEDを利用して、既存の印刷機をUV印刷機に改造する」というものです。

そしてつい先日のこと。さまざまな検証やテストを経て、LEDのUV照射装置を既設の菊4(A3サイズより少し大きなサイズ)のカラー印刷機に取り付けることができました。

これによって、今までは木材パルプを原料にした紙への印刷しかできなかった印刷機が、石油を原料にしたような紙やフィルム、たとえばユポという紙にも印刷ができるようになります。
また普通の紙に対しても、これまでは自然乾燥でインキを乾かしていたのを強制的にUV=紫外線を利用してインキを乾燥させるわけで、乾燥不良のようなトラブルは激減、短納期化にも対応できるようになるなど、様々なメリットがあります。



下の方で青く光っているのがLEDが発する紫外線です。これでインキが乾燥するという仕組み。




LEDを使ったUV印刷というのは5〜6年前から実用化されつつあります。
それまではメタルハライドランプというランプでUVインキを乾燥させることが通常でしたが、LEDでもインキを乾燥できるようになりました。LEDにすることで消費電力はかなり少なくなり、乾燥装置の寿命も数万時間交換不要、ということで環境にも優しい印刷方法です。乾燥方法の分野ではかなりのイノベーションだと言えると思います。

通常であれば新たにこのLED乾燥装置のついた印刷機を購入、ということになるのですが、印刷機というのは悲しいくらいに高額で(サイズによりますが平気で億の単位になったりもします。)おいそれと新しい機械を導入というわけにもいきません。
そこで考えたのが、すでに使用している(かつ、あんまり稼働していない)印刷機に、無理やり乾燥装置をくっつけて同じようにUV印刷機として使えないだろうか?というものです。

まだテスト段階ではありますが、乾燥に関しては全く問題なく上々の出だしです。

「あんまり使っていない印刷機に別の装置を取り付けて、最新の印刷機と同じように使えないだろうか?」というまことに貧乏人な発想なのですが、これがうまくいけば世の中で眠っている古い、けれども本当はまだまだ使える印刷機が、安価な最新印刷機として復活できるわけで、とっても素敵な事例になるのではないかと、今からワクワクしているところです。

ココログ出版

2003年に株式会社ニフティさんと共にスタートした、ブログ出版サービス「ココログ出版」がこの3月、すべてのバックオーダーの印刷・出荷が完了、当社でのサービスがすべて終了しました。
ココログ出版のサービス自体は昨年の秋にサービスを終了していたのですが、そのときに沢山のオーダーをいただき出荷がようやく完了する、というのが実のところです。終了のアナウンス後だけで1千件を優に超えるご注文をいただきました。




思い返せば日本でブログがこれから普及するかなーという黎明期に、ニフティさんがリリースしたブログサービス「ココログ」を私が知り、「これを一冊の本として書籍化することができれば面白いのにな」と思いついたのがキッカケでした。




それまでも当社では自費出版として個人の方々から原稿をお預かりして編集、印刷製本する、ということは普通にビジネスとしてやっていました。ただ、オフセット印刷は少なくとも数百部は印刷する必要があり、個人が負担する金額としては高額になります。そこをなんとかして自費出版のハードルを下げられないかなと考えていたところでした。

オンデマンド印刷という'90年台の終わりぐらいから普及しだした電子写真方式の印刷機と、そして従来から小ロットの対応に強みを持っていた当社の製本ラインを使えば、1冊からでも本にできるんじゃないかな、と考えていたところに、ココログが私の前に現れたのです。


といってもどうやってニフティさんと連絡をとって提案したらいいのか皆目見当がつきません。
そこで、マーケティングを専門にしている友人に相談したところ、驚くような答えが。


ニフティの大代表に電話したらいいんじゃないですか?」


目からウロコが落ちたことを今でも覚えています。
まぁそりゃそうだけど、いきなり大代表ですか・・・?

けれども、本当に提案するのであれば、一番手っ取り早いのは電話することかも、と無理やり自分を納得させます。
内心、大代表に電話なんかで本当にコトが進むのだろうかと思いながらダメ元で連絡をすると、数珠つなぎのように適切な部署の方をご紹介していただき、サービス検討が始まりました。



一介の大阪の中小企業な印刷屋から電話があって、忙しいのに耳を傾けていただいたニフティココログ関連の方々には今でも頭の下がる思いです。当時はブログっていう言葉さえまだ一般的ではなかった時代で、またニフティさんがココログというブランドを立ち上げつつある真っ最中のときでした。ふつう、「忙しいからまた今度ね〜」となってもおかしくないと思います。

また友人が「電話したらいいじゃないの?」と言ったのも、「これはサービスとして楽しさと新しさを併せ持ったサービスである」と本当に私が自信を持てるのであればニフティさんも無下には扱わないよ、という意味だったのでしょう。しかし当時は「果たしてニフティさんやそのユーザーの方々に理解してもらえるだろうか?」とやたらにハラハラしながら事を進めていったことも思い出されます。


ブログが一般的になって10年ぐらいでしょうか。日本人が世間に向けてものを書いて情報を発信するということが、ここまで日常のことになるとは思いもしませんでした。また「書いたら紙で、本の形で残したい」と思う人も老若にかかわらず沢山いらっしゃるということもわかりました。

なんて素敵なことか!と思います。

ブログのままでサーバーに置いておいてもコンテンツの閲覧は可能です。
そこをあえて本にするということからもわかるようにオーダーをされる方々一人ひとり、それぞれの思い入れが本づくりにはあります。私たちもそのドラマの一端をお手伝いできたことを幸せに思います。
ココログだけでなく、ココログ出版も可愛がっていただいたユーザーの方々。ありがとうございました。


またブログというデジタルなプラットフォームをしっかりと運営されながら、真逆のアナログ媒体を扱う私たちも同時に大切にしてくださったニフティさん。
素敵なパートナーと嬉しいビジネスをすることができた、とても楽しい10年間でした。
おかげで、私たち自身も「本」であることの大切さや意味のようなものを理解できたと思います。
本当にありがとうございました。

にっしーに掲載されました

しばらく更新を怠っておりました。私自身の傾向として、夏から年末にかけてブログを書くのをサボってしまう傾向にあるようです。今年はもう少し頑張ります。



さて。
大阪市西区の広報誌「にっしー」に江戸堀印刷所を掲載していただきました。
とても好意的に取材していただいて、なんと表紙を飾っていただいたという・・・恥ずかしいやら嬉しいやら。何はともあれ本当に有難いことです。


道を歩いていると、うちの写真が掲示板に貼られていて一瞬たじろぎました。


この「にっしー」、一般的な行政が発行している広報誌とは一線を画す素晴らしい取材と編集っぷりで、読んでいて実に面白い。西区民企業である私達も知らなかった、また知ったことで誇りに思えるような西区を教えてもらえる広報誌。
今号の特集は「ものづくり王国・西区」ということで西区の鉄工、木工、工具、建築などなど、とても素敵な感じで紹介されています。



世の中を支えてきた並み居る力強いものづくり企業のなかに私達の江戸堀印刷所も紹介されていて、なんだか席汚し感もあるのですが。


また、素晴らしくプロフェッショナルな撮影技術にも驚き。当社比というか実物比というか、180%くらいカッコよく写していただいてます。
この表紙写真がどれだけ実物に比べて素晴らしいかということを確かめる意味でも、いちど江戸堀印刷所の前にお越しいただく価値ありです。



印刷屋が「紙っていいな」と言ってもそれがどないやねん、という感じですが、やっぱり紙の広報誌に掲載されると嬉しいものです。よりいっそう地域に可愛がってもらえる印刷所にしていきたいなと思った次第でした。