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手書きパワー

ちょっとしたアナログのすごさ、というお話を。

最近新規案件で、聞けば誰でも知っているようなIT系のお客さんから注文があった。
もちろん印刷の案件なのだが内容が数万部のバリアブル(可変)印刷。バリアブル印刷っていうのはまだ一般的にはなっていない言葉なんだけれども、要は差し込み印刷みたいなもので、印刷するひな形データがベースにあって、それとは別にExcelなどのソフトに乗っかった個別に違うデータがあって、その個別のデータをひな形に流し込んでいくようなもの。「筆まめ」みたいな年賀状のソフトには宛名を1枚1枚別々に印刷する機能があるけども、それの大規模版とおもってくれるといい。
印刷とは基本的に、同じモノを同じように大量に複製していく技術なんだけれども、最近のデジタル印刷の進歩で、オフィスにあるレーザープリンターの超高速・高画質版みたいな印刷機を使い、データベースとの連携をさせて、「大量かつ高速に」は今まで通りなのだが「別々の」印刷ができるようになってきた。

今回の仕事は印刷に何万種類ものURLとQRコードを印字していくといういかにも携帯マーケティングが普及した現代風な仕事だなぁと思いながら、試行錯誤はありながらもみんなに苦労をかけながら、なんとか納品できた。


驚いたのはその直後。


当社の担当者にお客さんから電話があった。
納品直後にお客さんから電話があると何かトラブルでも?とちょっとばかり緊張する。しかし今回はお客さんからの「ありがとうございました」の電話でホッとしたのだが、そのお客さんの電話の内容がびっくり。

今回の印刷物は数万種類の内容が全部違うので、納品後にバラバラになったら困られるだろうと紙の帯で封をしているのだが、さらに気を利かせてその帯封に[00001〜00100][00101〜00200]という風に番号順に手書きで中身を分類表示していたのだが、それにお客さんがいたく喜んでくれたらしい。わざわざすみません、という感じなんだろう。

サービスのグレードとしてはそんなに凄いことをしたつもりもなく、当たり前のことをしただけ、という思いがあるのだけれども、お客さんはえらく良い反応をしてくれた。

今をときめくIT系企業からやや先進的な部類に入る受注を受けてなんとか納品して、うちの対応だとかキレイに刷れてますね、という観点でほめてくれたのかな、と思ったら手書きの注意書きに反応をしてくれていた。

いくらIT系で働く人だったり、データベースが絡んでいたり、といっても発注してくれているのは普通の人なんだなぁと当たり前のことにちょっと嬉しいというか。逆にこっちが、お客さんの業種だとか印刷の内容からなにか勘違いをしていて、いわゆるデジタル的なところに重きをおかないと、と思いすぎていたのかも。

手書きとか、ちょっとした人間味のある気遣いってときにびっくりするような力を発揮するからあなどれない。というかここを欠落させると、単なる自慰的デジタル会社になってしまうから気をつけないと、と思った瞬間でした。