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タスポの話と制度設計

2008年から未成年がタバコを自動販売機で購入することを防止するために、本人認証ICカードのタスポが日本中で導入され、その影響で町のたばこ屋さんが壊滅的な打撃を受けているそうです。私も喫煙者ですが、タスポは申し込んでいません。面倒だし。
その一方で、タスポがなくてもタバコが買えるコンビニでは特需に湧きまくっているそうです。タバコのまとめ買いという需要のほかに、店に入ったついでにコーヒーも的なついで買いの需要が大きく、ずっと前年割れが続いていたコンビニ業界も一息ついているそうです。

この話、本来は未成年者の喫煙防止が目的で導入されたのが、現象的には小規模小売業者の売り上げを落として、大手チェーンストアの売り上げを引き上げるという結果になったところがなんとも寂しい話。
小規模なたばこ屋さんも営業頑張ったらいいだろ、売り上げ落ちるのは自己責任だよ、という話も論理としてはわかるのですが長年続いた産業(この場合はたばこの小売り)が法律が変わった瞬間に、ひどい打撃を受ける、という構造はなんともやるせないなと思います。

某たばこメーカーに勤務する知人に話をきくと、

規制)未成年が深夜にたばこを買えるのはダメ!

対策)深夜に自販機を使えないように規制した。(2008年までの対策)

規制)それでも昼間でも自販機でたばこをかえるのはおかしいだろ?

対策)→ならば本人認証カードを導入しましょう
対策)そのかわりに、深夜でも自販機は動かしますよ。

というストーリーらしい。彼らも今では小さなたばこ屋さんに営業をかけることはほとんど無く見捨てた状態で、現時点ではいかにコンビニのレジそばの棚を確保するかが営業課題で、当然営業先は大手コンビニに集中しているそうで。

この話、繰り返しになりますが、本来の目的である高校生の喫煙防止の効果はどこかへいってしまい、単なる大手流通を潤わせて小規模業者は見捨てられたという構造。(タスポ認証を自販機に設置するのに12万円ほどの負担がかかり廃業も少なくない。タスポを使わないでも認証する装置が開発されたのですが、それは100万円以上かかり導入はすすんでいない)

もし自分がたばこ産業の人だとしたらどういう制度設計を国に提案するか?
もし自分が小規模たばこ小売り業を営んでいたらどう対策するか?
もし自分が行政側の人間で、高校生の喫煙防止にタスポが役立っていないということがわかったら次にどういう規制を業界にかけるのか?

タバコを吸わない人には何の関係もない話かもしれませんが、このタスポのケースは規制と商売の関係、という古典的だけど今も厳然としてなくならないテーマを投げかけているように思います。
そのうち環境がらみでお上が変な規制をつくって、それでまた変な対応に迫られる、ということもあるでしょうね。