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agitated

自分の専門や趣味とはほど遠く、文中に出てくる固有名詞や専門用語もちんぷんかんぷん。なのに読み始めたら、著者の言葉が発する熱のようなものに感じてどんどん没入していく。
読みすすめることで自分に小さな化学変化がおきるかもしれない、というワクワク感が湧いてきて、一気に読了。

そんな本に久しぶりに出会いました。

僕らが作ったギターの名器 (文春新書)
椎野 秀聰
文藝春秋
売り上げランキング: 62673


自分は音楽は大好きですが、演奏者ではありません。ギターのブランド名はおろか、プレイヤーも一部のロックギタリストを除いて全然知りません。著者略歴を見て、ギターの職人さんだとおもいきや、Vestaxというブランド(DJ関連機材ですごく有名)の社主であられることにもビックリしました。(このブランド、日本のブランドではないみたいに格好イイです。前からこのアナログプレイヤーが欲しかったけど生産中止)

ただ、この著者が語るものづくりへの姿勢に大いに共感してしまいました。いや共感じゃなくて、煽られた感じ。

著者は、職人が工房で作るスタイルでもなく、また単なる大量生産とも違う、日本の強みを活かしたギターづくりを目指します。

1/1(いちぶんのいち)のものづくりも良いが1000/1000のものづくりも面白い。

よく職人礼賛の文章は見かけますが、分業化された生産方式にロマンを見いだす概念は希有かなと思います。それを著者は生産工程に配置された工員の腕に敬意を払い、それを最大限に引き出すことにより、発売から40年経ついまも世界中から評価をうけるギターを世に出してきました。その考え方も手法も、現場主義かつ演奏者の声をとても大切にされていて、業界は異なれど学ぶところは大きいです。


ギター好きはもとより、ものづくりに関わる人にも皮膚の粟立ちを提供する、大いに刺激になる本でした。こんな素晴らしい本を書いていただき感謝です。ありがとうございました。

下は著者自らが語った文藝春秋のサイト。
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