LEDのUV乾燥装置

昨年、大阪府中小企業中央会より「大阪府ものづくり補助金」の募集がありました。
設備導入や施策に対していくらかの補助をいただけるというものです。
以前より当社にある印刷機を改造できればなぁと思っていたので、渡りに船とばかりに補助金の申請書を頑張って書いてみました。
そして・・運が良かったとしか思えないのですが、昨年の秋にこの申請を採択していただくことができました。

テーマは「LEDを利用して、既存の印刷機をUV印刷機に改造する」というものです。

そしてつい先日のこと。さまざまな検証やテストを経て、LEDのUV照射装置を既設の菊4(A3サイズより少し大きなサイズ)のカラー印刷機に取り付けることができました。

これによって、今までは木材パルプを原料にした紙への印刷しかできなかった印刷機が、石油を原料にしたような紙やフィルム、たとえばユポという紙にも印刷ができるようになります。
また普通の紙に対しても、これまでは自然乾燥でインキを乾かしていたのを強制的にUV=紫外線を利用してインキを乾燥させるわけで、乾燥不良のようなトラブルは激減、短納期化にも対応できるようになるなど、様々なメリットがあります。



下の方で青く光っているのがLEDが発する紫外線です。これでインキが乾燥するという仕組み。




LEDを使ったUV印刷というのは5〜6年前から実用化されつつあります。
それまではメタルハライドランプというランプでUVインキを乾燥させることが通常でしたが、LEDでもインキを乾燥できるようになりました。LEDにすることで消費電力はかなり少なくなり、乾燥装置の寿命も数万時間交換不要、ということで環境にも優しい印刷方法です。乾燥方法の分野ではかなりのイノベーションだと言えると思います。

通常であれば新たにこのLED乾燥装置のついた印刷機を購入、ということになるのですが、印刷機というのは悲しいくらいに高額で(サイズによりますが平気で億の単位になったりもします。)おいそれと新しい機械を導入というわけにもいきません。
そこで考えたのが、すでに使用している(かつ、あんまり稼働していない)印刷機に、無理やり乾燥装置をくっつけて同じようにUV印刷機として使えないだろうか?というものです。

まだテスト段階ではありますが、乾燥に関しては全く問題なく上々の出だしです。

「あんまり使っていない印刷機に別の装置を取り付けて、最新の印刷機と同じように使えないだろうか?」というまことに貧乏人な発想なのですが、これがうまくいけば世の中で眠っている古い、けれども本当はまだまだ使える印刷機が、安価な最新印刷機として復活できるわけで、とっても素敵な事例になるのではないかと、今からワクワクしているところです。