作業環境測定について

いつもの適当な内容とちがって、ややまじめで大切なことについてのエントリーです。

オフセット印刷工場の現場では、日常的にVOC(揮発性有機化合物)が排出されています。 うちの会社で働く印刷オペレーターのみなさんはじめ、スタッフのVOCによる健康被害を未然に防ぐため、弊社では法令を遵守することはもちろんのこと、できる限り健康に影響の無いインキや溶剤などを使用するようにしています。またそのような取組みは同時に、近隣の環境や大気への影響も軽減することにもなるでしょう。

できるかぎり環境や体に負担の少ない材料を使って印刷しましょう、という趣旨も含んだグリーンプリンティング認証という環境マークを取得したのも、わりと早いほうでした。(2009年9月~)

ただし法律を守ったり、「環境に良い」ことをうたった製品を使えばスタッフの健康被害を防いだり地球環境へ配慮したことになるのでしょうか?それだけでは不十分だと私たちは考えます。 実際に会社内部だけでなく材料業者さんまで含めて「これは大丈夫だよね?」という共通認識のもとに使用していた材料が原因で、法的には問題なかったのにもかかわらず胆管がんという悲しい事故が起きたのも私たちの業界です。

業者さんだっていわば利害関係を共にしているわけで、やっぱり本当に大丈夫です!と言えるためには、彼らの意見は参考にはするけれども100%信じるのはまずいかもしれない。 となると、客観的にうちの会社を見ることのできる本当の化学物質の専門家によって工場の空気の測定をおこない、「使っている材料や工場内の空気については問題ないですよ!」とお墨付きをもらってはじめて胸を張って「健康に悪くない印刷工場です」と言えるのではないでしょうか。

ということで昨年から私たちの自主的な取組みとして、中央労働災害防止協会さんに作業環境測定を依頼、印刷現場の空気の安全性を専門家に担保してもらうことにしました。

このような取組みは印刷業界ではまだ一般的ではありません。ただ、未来に向かって印刷会社と社会との関係性をより良いものにしていくためにも、法規制の範囲外だから気にしなくてもよい、というわけにはいきません。法律を遵守することはもちろんのこと、それ以上に、「健康に悪くない」「環境負荷が少ない」ということを目にみえる形で実証していきたいと思います。

10月に実施していただいた作業環境測定の結果が出て、「この環境で毎日作業しても、健康には全然問題ないですよ」とお墨付きをいただきました。 ただ、これだって使う材料が変わったり、印刷の仕方が変わることでなにがどうなるかはわかりません。安全基準自体が変わるということもよくあることだそうですし。 ということで私たちは年1回、自主的に専門家に作業環境を測定してもらい、この取組を継続させていくつもりです。

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中災防の方々に来ていただいています。
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すべての印刷機の上にはVOCを一定以上関知するとアラームが鳴るセンサーを設置しています。