前回の続き。
強度と開きを持ち合わせているクリアバック製本、
手帳のサンプルを作ってみました。
手帳を開いた時の感触って本を開いた時とは違う、というのは日頃は意識せずとも、なんとなくわかりますか?
もしお手元に手帳と本があれば試してみてください。
本は開いてもフラットにはなりませんが、手帳はノートのようにパカッと完全に開くはず。
この手帳の開きを実現しているのが「糸かがり製本」です。
前回も説明しました、糸かがり製本の工程はこんな感じ。
強度に優れていて、かつ開きもとても良い。
辞書のように酷使される本にも使われています。製本の王様だと思います。
さらに、その糸かがりの部分がむき出しになっている「コデックス装」という製本になると、開きを邪魔する背表紙がないので、完全にフラットに。
ただ残念なのが糸かがり製本の初期費用が高いこと。
折り工程があると、どうしても経済的な最低ロットが少なくとも1000部を超えてしまいます。となると、印刷方法もオフセットとなり、「糸かがり製本で手帳を作る」と決めた時点でで少なく見積もっても数十万円以上はかかってしまいます。
なんとか、数万円~十数万円程度の予算で手帳を小ロットで作れないか?となると、無線綴じ、またはホチキスによる中綴じを選択せざるを得ません。無線綴じだと開きが犠牲になり、中綴じになるとページ数が犠牲に。
ということでクリアバックで作ってみました。サイズは小さくした方が、開きに関してシビアなテストができます。開きだけで比べると糸かがりの手帳に少々劣るのですが、実用には十分なレベルです。
10部~100部程度の数量から、強度もありかつ開きの良い手帳を作れないか?というお題に対しては必要十分な回答になっているテスト結果となりました。