手動の話

前回の話の続き。

印刷機械の動力ははもちろん電気。当社にも大きなモノからマイクロサイズな名刺を印刷するような機械まで含めると20台以上の印刷機が電気の力で頑張ってくれています。

しかし当社には唯一ヒトのチカラ、人力で動く印刷機があります。



ご覧下さい。

adana21-Jです。当社の機械の中ではわりと新人。


手動でガッチャンガッチャンと印刷する活版印刷機です。
ちょうど5年ほど前に新宿の朗文堂さんがこの機械を復刻されると聞いて、いてもたってもいられず購入した、素敵な印刷機。
プリントゴッコ無きいまの世の中、「現役かつアナログな印刷機」というカテゴリーでは最小単位のひとつではないかと。
最近はお客様にも披露する機会が増えて、活躍してくれるようになりました。
「手動で動いて仕組みが見える」というだけで老若男女にかかわりなく皆さん、わりと興奮されます。



話は変わって、最近面白かった本。

月3万円ビジネス
月3万円ビジネス
posted with amazlet at 12.04.17
藤村靖之
晶文社
売り上げランキング: 4811

サブタイトルが「非電化、ローカル化、分かち合いで愉しく稼ぐ方法」です。
いいですよね。いま私たちがしているビジネスには直接には関係ないかも。
けれども、考え方の面では大いに勉強になる本です。「安い、高品質、すぐに手に入る」というものとは対極の立ち位置。コーヒー豆焙煎したり、ニワトリの卵を売ったり。けれど量はそもそも追わない。
だけどなんだか共感してしまう話が満載。商売ってそもそも元のカタチはこうだったのかも。



この本を読むと、さっきお話したAdana-21がより愛おしくなります。生産性や高品質とは無縁。だけど、その機械が人力で動くことで、ワクワクした感じが喚起される。

デジタルはデジタルで便利だし効率的で大いに結構なのですが、紙や文字を扱うからにはこういうアナログ感も大切にしたいなと。