クリアバック製本(5)番外編

前回の続き。

クリアバック製本ということで、「背表紙のない、広く開くPUR製本」でどんな本が作れるかのテストをしてきました。

その中で、トライしてみたはいいけれども、何に使うねん?という実験で終わっているモノのご紹介。

1.木の表紙、紙の本文

以前にも紹介しましたが、これも実験の途上でできあがってきた変わり種。「木に印刷」さえ出来てしまえば実用化できそうです。ただ「誰が使うねん?問題」は解決されていません。アホみたいですね。

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4mm厚のベニヤ板をホームセンターで買ってきて表紙に

2.ダンボールの表紙、紙の本文

普通にダンボールを表紙にしただけです。

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ダンボールの表紙

これ、やってみて分かったのですが、ダンボールって断裁すると端がへしゃげるというか、断裁機の圧に負けて端が潰れてしまうので、キレイな本にしようと思うと断裁は無理で、電動のノコギリ的なのでカットしないとダメ。

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写真では今ひとつわかりませんが、断裁した直後はダンボールの断面がへしゃげてしまいました
こんなこと、普通に考えりゃ分かるのですが、普段はダンボールを本にすることなんかありませんので作ってから気づくという愚かさ。勉強になりました。

3.皮革と紙の混在本

皮の端切れがあったので、紙と一緒に製本してみました。これは表紙付きなので、単なるPUR製本です。
強度は抜群で、大の男の力でも壊せません。
これも「誰が使うねん?」的サンプルとなってしまいましたが。

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左が紙の束、右の茶色いのが皮の端切れ4枚
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左が紙、右が皮革
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左右共に皮革です


という感じで、いろいろとボツになることを含めて楽しみながらやっています。
ほかにも巨大本をつくったり極厚本にトライしたり。
こうやって色々と挑戦しているうちに、分かっているつもりだった製本技術で新たな知見を得ることができたり、想定しないお客様が感心を持って下さったり、と嬉しい反応も。

これからも、こんな感じで一見くだらないようなアイデアでも、やってしまえ!とトライした結果をご報告できればと思います。