マスクがない

1973年の石油ショックでトイレットペーパーが店頭からなくなった、というエピソードを子供の頃に知りました。日本は石油が出ないので云々、だから有事には石油が高騰してまたそういったことがあるのかも、とボンヤリと考えたことがあります。


天災で局地的に短い期間だけスーパーの棚からモノがなくなることは体験しました。しかし買おうと思っても商品がない!なんて。ゲームや食品、書籍が流行したから在庫がないというのはあっても、まさか生活雑貨が1ヶ月以上に渡って入手できないなんて想像したこともありませんでした。それも伝染病の流行で。

手に入らないものはありません(ただしマスクとアルコール除菌グッズを除く)というのが現状で、すべてが日常通りなのですが、そこだけモノがない。それが余計にことの異様さを際立たせているように思います。

アイリスオーヤマやシャープがマスクを製造します!ってのがニュースになるって、その事自体が驚き。
また、あんなに大きな企業体がこれだけ短期間で普段とは違うものを量産できる、という意思決定と生産技術にはすごみを感じます。事業のスピード感が世の中のためになっているという素晴らしい事例。見習いたいものです。


普通がなつかしい、普通がありがたい、という今の状況を目に焼き付けておきたいと思います。

新型コロナウィルスへの対応

当社は2月26日から定時の始業時刻の9時を取りやめ、社内を8時半と9時半スタートの二組に分け、通勤ラッシュを避けて出勤するようにしました。
各部署には手洗い用のアルコールジェルを置き、もちろんですが体調がすぐれなければ出勤を控るように呼びかけています。
そこへきて学校の一斉休校です。子育て中の女性スタッフも多いので影響は少なくありません。

東日本大震災や2年前の大阪北部地震や台風などで会社操業自体が不安定になることはこれまでもありましたが、伝染病リスクでここまでになるとは正直予想していませんでした。

当社は印刷加工の現場など機械をつかってものづくりをしている都合上、リモートワークも難しい。
他の会社さんから、サプライチェーンに影響が出たり中国の拠点が動かなかったりとより深刻な事態になっていることを聞くと、紙や資材の供給には今のところ影響がでていないだけましなのかも。ただ、せっかく作らせていただいた印刷物が学会やイベント等の中止・延期などで使われなくなったりするのは悲しい限り。
繁忙期を想定していたであろう飲食、ホテル、旅行関連業などの話を聞くといたたまれない気持ちになります。

そういえば今日は3月11日。9年前の地震とは比べられませんが、まさかの伝染病。私たちも自然の一部であるかぎり、ああいうこともこういうことも起こるのだ、ということをまさに学び中です。

幸いにいまのところ営業や生産に関わる現場すべて通常運行です。終息はまだ見えませんが、その先を見据えてみんなで頑張っております。


近所のうつほ公園も親子で賑わってました。

現場猫

少しマニアックな話です。

現場猫、という猫イラストがネットの世界ではわりと有名らしいなのですがご存じないですよね。
安全帽をかぶって現場作業をしている可愛い?猫なのですが、わりと不穏なことを言いがちなキャラクターでもあります。
現場猫、で検索したら山ほどイラストがでてきます。

前からその存在は知っていたのですが、その現場猫がなんと安全衛生の総本山といってもいい、そして当社もお世話になっている中災防さんのポスターに採用されたというニュースをみて驚きました。
そこまでメジャーだとは知りませんでした。


www.jisha.or.jp


この猫、くまみねさん
kumamine.blogspot.com
という作家さんが描かれたものがどんどんとネット上で改変されながら拡散されているよう。
正式名称は仕事猫だそうです。

彼ら現場猫たちを好きになったのはこの画像から。

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これ、ありがちだけど絶対あかんやつですね。
検査の現場で起こりうる光景、作業者の心理を見事に描写されています。

当社でも、品質トラブルがあって対策を講じるときに悲しいかな「今後はダブルチェックを云々・・」という声が対策としてあがったりします。そのたびに私は「頼むからダブルチェック、トリプルチェックだけで対策とするのは止めて!」「それは何も考えてないのと一緒だよ」と声を大にして現場に言います。その時に私の脳裏に浮かぶイメージがこれ。
もしダブルチェックであかんかったら次はトリプルチェック。それでも事故があったら…(以下略)
要は対策になってない。

この猫たちのようにダブルチェック(だけ)の帰結はこうなってしまうし、まさにこれが人間の本性だと思います。とても自然な流れ。

人間の弱さや思い込みに警鐘をならしてくれる彼ら現場猫。中災防さんのポスター買わなあかんと思いました。

部分と全体

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昨年の11月に当社グループのデザイン会社(株)アサックでつくっている日めくりカレンダーの話をしました。
oka.hateblo.jp

日めくりカレンダー、それもあの昭和から残るあのタイプの日めくりカレンダーを偏愛しています。
日めくりカレンダーの何が良いのかと挙げていけば、あの薄い純白ロールの紙の感じ、めくるとき(引き抜くとき)の動作の触覚に訴えるところ、六曜や二十四節気以外にもいったい何種類あるのかわからない暦、などなど。さらには年末になると残り少なくなる、ということが目視やめくるという動作で直感的に感じられるということも素敵要素に付け加えたいです。

普通のカレンダーだと平面が繰り返すだけですが、これが紙を重ねることで三次元になって視覚に訴え、「365日ある1年のうち、今がどの時点かがだいたいわかる」という点。
部分と全体の関係がひとつのかたちになっている。

冒頭の写真は、当社がお世話になっているアグフアさん(あのヨーロッパのフィルム会社Agfaです。印刷に使う版を供給していただいています。)から昨年末に頂戴した日めくりカレンダー。これが面白い。
1年間が一辺8cmの立方体になっていって、毎日1枚ずつをミシン目でちぎっていく形になります。

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ご覧のように、ちょうど12ヶ月のうちの12分の1が終了してしまったんだな、ということが立体でわかるところが素敵です。
1年のスタートは完全な立方体で、そこから日々がちぎられて欠落、日が経つにつれててもとの形がわからなくなってしまうはかなさ。
日付を知るだけだったらデジタル時計でもいいし、平面のカレンダーでもいい。けれどもその日付が、全体である1年のうちどこに位置している部分なのかは視覚ではわかりません。

カレンダーに限らず、紙にプリントだけだったら平面、2次元的に情報を把握することになりますが、その紙葉を重ねて3次元にすることでより情報が立体的、直感的に感じられる。
これは本の特徴、分厚い本にしおりを挟んで「あとこれぐらいでこの本も読了だな」と体感できるのと通じるものがあります。いまどのページ、部分にいるかすぐにはわからない電子書籍に対して、こっちはリアルに今の場所が全体に対してだいたいわかる。
紙の加工、それによって表現される情報、呼び起こされる感情。このカレンダーを見ていて、まだまだこの世界には楽しい可能性があるなとワクワクします。

こさえる、こしらえる

先日「つつんで、ひらいて」という映画を観てきました。
装幀家の菊池信義さんの生き方や仕事ぶり、ゼロから本の装幀を産み出すまでプロセスがきっちりと、丁寧に描かれた素敵な映画でした。
1万5千以上の本をこれまでに装幀されたそうで。ほぼ毎日装幀を考え出しても50年ちかくかかると考えると気が遠くなります。



印象的だったのが、菊池さんが語っていた「こさえる、こしらえる」という言葉。これは単に「つくる」という意味ではなく「人のためにつくる」という意味が・・・というくだり。拵える(こしらえる)という言葉を辞書でひいてもそんな語義は書いていませんが、とても素敵な言葉の使い方、解釈のしかたで、このくだりを観ていて背筋の伸びる思いがしました。丁寧に、ひとのために、誰かのためにものをつくる、という行為自体が美しさや崇高さを内包しているのでしょう。この「誰か」を想像しながら、私たちも真摯にしごとに向き合っていかねばと思います。

そういえば本棚に菊池さんの本ってあったような?と探したらありました。今読み返すとさらに面白い。


文庫本「装幀談議」91年の文庫本でした。

年末のご挨拶

当社は本日12月27日で今年の営業を終え、年末年始のお休みに入りました。
今年は振り返ると平成から令和への改元を祝い、大阪ではAPEC、ラグビーW杯の予想外の盛り上がりに興奮したりと忙しい一年でした。

商いの方も、たくさんの方々からのご協力、ご理解をいただきながら新しいことにも取り組むことができたと思います。
干支が一周して新しくなる2020年はどんな年になるでしょうか。ワクワクしながら、あさひ高速印刷、グループ一同、来年も前を向いてしっかりと進んでまいりたいと思います。
今年一年、どうも有り難うございました。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。