特殊詐欺に騙されかけた(1)

5月中旬のこと。特殊詐欺に遭遇、ほぼ騙されかけました。皆さん、

番号非通知の「警察です」、と名乗る電話は詐欺です。注意しましょう。


という結論だけを先に書いておきます。詳細は以下の通り。

5月16日16時半
携帯電話に番号非通知の着信あり。講演を聴講中だったのと非通知なので応答せずにとりあえず放置。
10分後に再び非通知で着信あり。なにかの緊急事態かもしれないと思い、こっそりと会場を出て受電。

相手1「オカさんの携帯でまちがいないでしょうか?」
相手1「警視庁捜査2課です、いますぐに免許証等の身分を証明できる物をもって、宮城県警に出頭してください」

私「は?宮城県警?私いま大阪なんですけど、無理ですそんな突然に」

相手1「オカタツヤさん、大阪府XX市XXにお住まいで間違いないでしょうか?ご本人ですね?」「前科や犯罪履歴はありませんか?」

私「いったい何があったのでしょうか?」

相手1「説明するので周囲に人のいないところに移動してください。」

ここから、数十分にわたって事件の概要の説明。警視庁の人が言うには、

宮城県で組織的なマネーロンダリンググループが摘発された。
犯人の拠点からは様々な名義のキャッシュカードが押収され、その中の1枚がオカ名義の楽天銀行カードであった。
あなたも今の時点ではこの犯人グループの協力者という疑いがある。
取り調べの必要があるので、今すぐ宮城県警に出頭せよ。さもなくばあなたが犯人への協力者であるという疑いは晴れない。

私「ちょっとよくわからないので、弁護士を通させてください」

相手1「どの弁護士でしょうか?弁護士の名前がわかればこちらから先に連絡します」

私「は?いや、まず私が弁護士に相談しますのでその必要はありません」

と、ここまで会話をして、次の展開へ。今すぐ出頭できないのであれば、この事件の主管である宮城県警に電話を転送するので、電話を切らずに待っておいてください、とのこと。宮城県警と電話でつながったら、次のことを伝えてください、とのこと
ー事件番号は「令和6年(ネ)1633」
ーTグループマネーロンダリング事件

保留音で待つこと数十秒、宮城県警の人が電話に出る。捜査二課のオオタニさんと名乗る。

相手2「仙台で大規模なマネーロンダリング事件があり、犯人の拠点に踏み込んだところ、数百人分のキャッシュカードが発見され、そこに岡さん名義の楽天銀行カードが含まれていました。」
と、ここからの説明はさっきの警視庁の人の説明を丁寧になぞり、

相手2「現在、極秘の調査を行っているので、この件については誰にも相談や話をしないでください。ご家族にも言ってはいけません。なぜだかわかりますか?」

私「家族がだれかに相談するかもしれないからでしょうか?」
相手2「その通りです。家族に相談して、奥さんがまた別の人に相談して、機密が漏洩することもあります。その場合、あなたが機密を守れなかったことになり、裁判では不利な立場になります。」
私「はい、わかりました」

このあたりから、私はこの相手を疑う気持ちはまったくなく、完全に相手が宮城県警の人で、なんなら善良な市民としていくらでも協力するから、とにかく一刻もはやくこの電話を終えたいという気持ちになっていました。
ここに記しているのはあくまで会話の要点だけなのですが、実際は犯人の姿形、マネーロンダリングの内容、口座を通った金額、どういう風に今後捜査をつづけるかなど、精緻に、延々と説明がつづきます。ここまでで約40分。

相手2「携帯電話の電源はまだ大丈夫でしょうか?これからまだ聞き取りは続きますので」

私「はい、大丈夫です。まだお話できます。」

相手2「今から、犯人が犯行に使っていた携帯電話と岡さんの携帯電話の通話履歴があったかどうかを調べます。いいでしょうか?」

私「はい、どうぞ。」

相手2「それと同様に、犯行に使われていたLINEアカウントと岡さんのLINEに交信記録があったかどうかも調べますので、LINEの画面を開いてください」

私は普段、電話をする端末とLINEをする端末を分けていて、その日はたまたまの偶然、うっかりそのLINE端末を家に忘れてきてしまっていました。実にこれが幸運なことだったのです。

私「すみません、LINEのアプリはこの端末には入っていなくて、LINE端末は家に置いているので、いったん家に帰ってからまたご連絡もらえますでしょうか?」

相手2「えー、では今はLINEの画面は開けないのですね。あーそうですか。では後であらためますね。」

と言うやいなや、いきなり電話をガチャ切り。
よっぽどこの人も事件でお忙しいのね、とまだ私は相手がリアル警察官だと信じ込んでいます。

が・・しかし、ここまで時間にして1時間弱も私は捜査に協力していて、またこの宮城県警の人の語り口が、それまではそこそこ丁寧な感じだったので、このガチャ切りはちょっと失礼なんじゃないの?と、後味の悪い感じ。

このあと、どういう展開になるのかなぁ、またしばらくたってから電話があるのかなぁ・・私はどうすればいいんだろう?とぼんやり考えていました。

ここまでが自称警視庁&宮城県警のコンビによる見事な詐欺電話、私は完全に信じ込んでいました。が、次の展開へ。

つづく