さよならフィルム製版

つい先日、当社からフィルム製版の機械がすべてなくなりました。
当社はCtP(コンピューターから直接、版を出力する)の導入も早く、90年代初頭から製版のデジタル化へ対応していました。最近は99%以上デジタルデータの運用になっていたのですが、どうしても在版として古いフィルムが残り、ほとんど稼働はせずとも廃棄できない状況が何年も続いていました。


一方で、最近ではオフセット印刷と並行して、デジタル印刷とよばれる電子写真方式の印刷機を増設が続き、置き場所が手狭に。「もうアナログ(フィルム)製版の設備は捨ててしまえば?」という社内の声がどこからともなく上がってきて、今回の決断です。
しかし。アナログな機械を押しのけて、デジタルな機械が新設というのは、時の流れとはいえなんとも・・・

これが業者さんに引き取られていくフィルム製版の機械です。
多分、スクラップにされちゃうんだろうなと思うと長年頑張ってもらった機械だけに、切ないものがあります。20年以上の活躍に終止符。

アナログ製版の設備諸君、長年のお勤めごくろうさまでした。


それにしても、フィルムといいテープメディアといい、自分が幼少、いやオトナになってもしばらくは存在したメディアがすべてデジタルに駆逐されていくのを見るのは壮絶やなーと思います。
こないだ子供と話していたら「巻き戻す」という言葉が通じませんでした。まぁそりゃそうかと。

ウェブサイトについて

「あさひ高速印刷のホームページは文字ばっかりで見にくいよ!」というお声を何人かの方々にいただきました。


これまで、私どもができることや、また新しいことにチャレンジしたり、お客様から評価のお声をいただいたものをそのまま愚直に掲載してきました。年月が経つうちに内容がゴチャゴチャしたり、リンクが複雑になってしまい、お客様が目的とする内容とそぐわなかったりということが多く発生しているとのことです。当社のホームページで迷われた方へ。ご不便をおかけして申しわけございません。


当社では法人のお客様を中心に、印刷を中心としたコミュニケーションのお手伝いをする会社としてご贔屓いただいております。しかしながら最近はウェブのお仕事だったり、データベースやパワーポイントなど、紙にインキを載せないお仕事も増えてきました。


私たち自身がこの潮流をどう捉えるか、がまだ未熟なゆえにウェブに当社のメニューをうまく表現できていないことは、ちょっと悔しい感じがしております。
ただ、お客様のお声に真摯に対応し、時代の要望に沿ったカタチの、俊敏かつ正確なサービスを心掛けたいという思いはこれまでと変わりません。


まずは「私たちのできること」をお客様に伝えていくことを大切にしたいと思います。


「なんだ、これまでと一緒じゃないか」という声が聞こえてきそうですが、少しずつでも進歩していきたいと願っています。
私達ができる仕事の質を高めることと、それを必要としているお客様に少しでも上手く伝えること。どちらも簡単ではありませんが、少しずつ。

みなさんのご意見いただければ嬉しく思います。

ご近所

さきほど自転車で近所を走っていたら、リーガロイヤルホテルと国際会議場の間にこんなものを見つけました。

近代製紙業発祥の石碑です。
日本で最初に洋紙がつくられた場所だそうです。
恥ずかしながら当社の近所にこんなものがあるなんて知りませんでした。

澄み切った秋の空のもと自転車で走るだけでも嬉しかったのですが、さらに嬉しさ倍増です。
ここで始まった近代製紙が面々と続き、いま私達もその流れのなかで洋紙を使わせていただいている。
なんだかありがたい話です。

先日、東京の神保町を訪れました。
神田、神保町は以前から本のまちということで興味があったのですが、訪れたのは初めて。
まるで学生の頃に東京を訪れたような、最近では味わえなかった興奮を覚えました。
本屋さんだけでも興奮しがちなのに、街全体が本屋さんだらけなんて!



この日、お目当ての本は、吉原秀樹著「『バカな』と『なるほど』」、です。

この本、ビジネス書ながら大ベストセラーの楠木建氏「ストーリーとしての競争戦略」



の中で紹介されおり、是非読んでみたかったのですが絶版で入手不可能だったのです。

この作品が、三省堂からエスプレッソ・ブック・マシーンで復刻される、というのでワクワクしながら三省堂を訪れました。

エスプレッソ・ブック・マシーンというのは、店頭に印刷機と製本機が合体した機械が置いてあり、端末から書籍名を選ぶとその場で印刷・製本・仕上げまでを行うという、印刷屋と製本屋が合体したような機械です。印刷に関わる人間には興味がないわけがありません。

ましてや、当社は7年前から"ココログ出版"という「ブログを1冊の本にできますよ」というサービスを(株)ニフティさんと共同で運営しているので、この「1冊から買える!」ということについてはより敏感に反応してしまうのです。どんなんだろう?と。


これがそのエスプレッソ・ブック・マシーンです。写真ではよく見えませんが、印刷部分はゼロックスのモノクロプリンターそのものが使われております。その後ろにインクジェットプリンター製本機がついている感じ。なので表紙はカラー、本文はモノクロ、となるわけです。

三省堂本店の中でこのマシン、やや遠慮がちな場所に、本棚とはちょっと離れたところに鎮座していました。
ヒトにたとえたら、「本屋さんに養子に入ったはいいがまだ他人行儀な扱われ方をされて、だけどこの先馴染めるのかなぁという不安を抱えながら」という感じでしょうか。


で、肝心のお目当て本を買いました。


実はすごく残念。
絶版本が、電子書籍ではなくカタチのある本として蘇る、ということ自体は素晴らしいのですが。
装幀が、いや製本がダメ過ぎ。帯は帯ではなく「帯風な表紙」となってしまって、さらには背の部分がずれている。
まるで一昔前の東南アジアの本のような。
本文もデジタルスキャンしたものをコピーしたから仕方ないよねー、とばかりの読みにくい文字。
これが1500円。安いといえば安いけど・・・

この残念な気持ちは、自分が印刷業に従事しているから故の感情なのかな?と考えてみたのですが、違いました。
本屋さんが、このちょいイマイチな本を作って売る、ということが残念なのだというのが私の結論です。
この本を、例えば街にあるコピーショップで買い求めるならそう違和感はありません。もしくは図書館にて有料で絶版本を買い求める、でもいいかと。

しかし、神田の三省堂でこのカタチは悲しすぎる。
あ、悲しかったのはカタチだけです。内容は非常に面白い本でした。


私のエスプレッソ・ブック・マシーンへの関心は一気に萎えてしまいました。惜しいなぁ。

帰りも神保町の街をうろうろ。ええなぁこの街。

エスプレッソ・ブック・マシーンさん、わざわざイタリアからこられたそうですが、神保町の街はまだお似合いではありません、というのが私の感想。

本屋さんの愉悦

電子書籍がワーワーと騒がしいとおもっていたら、なんだか最近は本屋さん回帰が始まっているのでしょうか?


BRUTUSでも本屋さんが特集されていましたし、昨日はこんな雑誌を発見しました。

ケトル VOL.00

特集は「本屋さんが大好き」だそうで、思わず手にとって買ってしまいまいした。


「良い本屋さん」の定義がなんなのかは人それぞれでしょうが。

ところで昨日の、長年の自らの不明を恥じたおはなし。


数年前、京都の恵文社一乗寺店ガケ書房を紹介され、「ああ、大阪にもこんな本屋さんがあればなぁ」(=大阪には面白い本屋さんがない)

と思っておりました。


昨日、会社のスタッフに連れられアメリカ村のスタンダードブックストアに行きました。この本屋さんは最近キタにも出店したとかでその名前を耳にすることもあったのですが、正直言ってあまり関心はありませんでした。アメリカ村茶屋町にある本屋さんは、私のようなオッサンを拒否するに違いない、と勝手に思い込んでいたのです。


しかし。長らく眠っていた本屋さん好きの自分を思い出すには十分な体験でした。いやアマゾンとジュンク堂本店にながらく飼いならされていた自分を自覚した、という感じです。

あまりに嬉しくて、今日も行ってしまいました。そして散財。



大人の幸せは本を大人買いできること。
面白い本屋さんって本当に面白い。
同語反復、説明になっていなくてすみません。

*新橋の魅力

東京に出張したら思うこと。
浜松町にある当社の営業所に出張して、その後お客さんやら知人と夕食や飲みになると、新橋に行くことが多い。

新橋はサラリーマンの街、というフレーズを良く見かけるけれどもそれだけではない魅力がある。

サラリーマンの街、というだけなら大阪だと梅田界隈もサラリーマンが多い。最近だと大阪からひと駅の福島エリアが盛り上がっている。わりと良い感じの店も増えている。

ただ足を運べば運ぶほどに「新橋はちょっと違うなぁ」と感じる。

"アクティブ感が違う"というか。



何がその「新橋的」と「非新橋的」を分ける差なのか?


いくつか要因があるとは思うけれども、


(1)"上場会社経営のチェーン店居酒屋"と"個人資本の店"の割合

→当然、後者が多いほど私にとっては魅力のある繁華街。



(2)かなり古くからやっていて、まだ現役で継続している店の数が多い

→高年齢おっさん、中年おっさん、若いサラリーマンが渾然一体となって飲んでいる姿が観察される。梅田とか他の新興カッチョイイ的な街だと、カッチョイイ若手のサラリーマンが男女で飲んでいたりして、おっさんを排斥したげな空気を醸していたり。


(2)は、他の街(特に大阪だと梅田)との違いだと感じる。

大阪だとミナミは街的には梅田よりも魅力的なんだけど、ミナミはミナミでちょっと新橋とは比較できない。アジア的、というか。観光地みたいな要素がミナミにはあるだろうし。

新橋は、観光客を集めようなんて魂胆も見えないし、お客さんや若者に媚びた匂いが全くない。現役かつベテランの格好イイ街だと思う。

下の写真はJRのガード下のお店で撮ったもの。安いし美味しかった。飲んでいる人も楽しそうだし、お店の人たちも元気。これって最高です。

自炊サービスの進化に驚いた

「自炊」という言葉をご存じですか?
あ、もちろん自分でご飯をつくることが本来の意味なのですが、
今年は電子書籍元年。新しい意味が生じまして、


wikipedia:自炊_(電子書籍)より引用

電子書籍に関する自炊(じすい)とは、電子ブックリーダーやパソコンの利用者自らが紙媒体である書籍や雑誌をまるごと裁断機で切断し光学スキャナーを使って1ページずつデジタルデータに変換する行為を指す[注 1]。


iPadKindleといった電子ブックリーダーで蔵書を閲覧するために、自分が所有している本を断裁(本の背の部分をバッサリ)して、スキャナーで読み込んでpdfなどのファイルにして本を読むということです。


私の記憶では今年の前半、この自炊行為を代行するサービスが沢山うまれました。
そのどれもが、本1冊をスキャンしてたったの100円、という衝撃的な価格です。

このコストの安さに加え、著作権法に違反しているのではないかという声もあったため、私はこのサービスは暫くするとなくなっていくか、もしくはもう少し高めのコストに収斂していくのではないかと思っていました。


ところが。私は甘かった。
先日GIGAZINEというニュースサイトを読んでいたら、この自炊代行サービスで先頭を走る「bookscan」の進化するオペレーションについて詳しく解説されていました。

詳しくは下記記事を読んでいただければ。

GIGAZINE「本を送るとスキャンして電子書籍化してくれる「BOOKSCAN」の裏側を見せてもらいました」


素晴らしい進化。同業ではないですが日頃から紙を扱う印刷業者として、このスピード感とオペレーションを磨いていく姿勢は大いに見習わないとと感じた次第です。

話は変わって。
また、この記事を読んで思い出したのは吉野家のことです。

吉野家は牛丼の単品で勝負する単品経営で有名ですが、この記事にはそれと同じ匂いを感じました。
サービスや商品を単品に絞ることで、顧客に提供できる価値を最大化しつつ、低コストを実現する。
素晴らしい。

最近は吉野家さん、すき家に代表されるゼンショー軍団に対しては分が悪そうです。
頑張れ吉野家!頑張れ安部社長!
って全然自炊とは関係ありませんが。