ココログ出版

2003年に株式会社ニフティさんと共にスタートした、ブログ出版サービス「ココログ出版」がこの3月、すべてのバックオーダーの印刷・出荷が完了、当社でのサービスがすべて終了しました。
ココログ出版のサービス自体は昨年の秋にサービスを終了していたのですが、そのときに沢山のオーダーをいただき出荷がようやく完了する、というのが実のところです。終了のアナウンス後だけで1千件を優に超えるご注文をいただきました。




思い返せば日本でブログがこれから普及するかなーという黎明期に、ニフティさんがリリースしたブログサービス「ココログ」を私が知り、「これを一冊の本として書籍化することができれば面白いのにな」と思いついたのがキッカケでした。




それまでも当社では自費出版として個人の方々から原稿をお預かりして編集、印刷製本する、ということは普通にビジネスとしてやっていました。ただ、オフセット印刷は少なくとも数百部は印刷する必要があり、個人が負担する金額としては高額になります。そこをなんとかして自費出版のハードルを下げられないかなと考えていたところでした。

オンデマンド印刷という'90年台の終わりぐらいから普及しだした電子写真方式の印刷機と、そして従来から小ロットの対応に強みを持っていた当社の製本ラインを使えば、1冊からでも本にできるんじゃないかな、と考えていたところに、ココログが私の前に現れたのです。


といってもどうやってニフティさんと連絡をとって提案したらいいのか皆目見当がつきません。
そこで、マーケティングを専門にしている友人に相談したところ、驚くような答えが。


ニフティの大代表に電話したらいいんじゃないですか?」


目からウロコが落ちたことを今でも覚えています。
まぁそりゃそうだけど、いきなり大代表ですか・・・?

けれども、本当に提案するのであれば、一番手っ取り早いのは電話することかも、と無理やり自分を納得させます。
内心、大代表に電話なんかで本当にコトが進むのだろうかと思いながらダメ元で連絡をすると、数珠つなぎのように適切な部署の方をご紹介していただき、サービス検討が始まりました。



一介の大阪の中小企業な印刷屋から電話があって、忙しいのに耳を傾けていただいたニフティココログ関連の方々には今でも頭の下がる思いです。当時はブログっていう言葉さえまだ一般的ではなかった時代で、またニフティさんがココログというブランドを立ち上げつつある真っ最中のときでした。ふつう、「忙しいからまた今度ね〜」となってもおかしくないと思います。

また友人が「電話したらいいじゃないの?」と言ったのも、「これはサービスとして楽しさと新しさを併せ持ったサービスである」と本当に私が自信を持てるのであればニフティさんも無下には扱わないよ、という意味だったのでしょう。しかし当時は「果たしてニフティさんやそのユーザーの方々に理解してもらえるだろうか?」とやたらにハラハラしながら事を進めていったことも思い出されます。


ブログが一般的になって10年ぐらいでしょうか。日本人が世間に向けてものを書いて情報を発信するということが、ここまで日常のことになるとは思いもしませんでした。また「書いたら紙で、本の形で残したい」と思う人も老若にかかわらず沢山いらっしゃるということもわかりました。

なんて素敵なことか!と思います。

ブログのままでサーバーに置いておいてもコンテンツの閲覧は可能です。
そこをあえて本にするということからもわかるようにオーダーをされる方々一人ひとり、それぞれの思い入れが本づくりにはあります。私たちもそのドラマの一端をお手伝いできたことを幸せに思います。
ココログだけでなく、ココログ出版も可愛がっていただいたユーザーの方々。ありがとうございました。


またブログというデジタルなプラットフォームをしっかりと運営されながら、真逆のアナログ媒体を扱う私たちも同時に大切にしてくださったニフティさん。
素敵なパートナーと嬉しいビジネスをすることができた、とても楽しい10年間でした。
おかげで、私たち自身も「本」であることの大切さや意味のようなものを理解できたと思います。
本当にありがとうございました。

にっしーに掲載されました

しばらく更新を怠っておりました。私自身の傾向として、夏から年末にかけてブログを書くのをサボってしまう傾向にあるようです。今年はもう少し頑張ります。



さて。
大阪市西区の広報誌「にっしー」に江戸堀印刷所を掲載していただきました。
とても好意的に取材していただいて、なんと表紙を飾っていただいたという・・・恥ずかしいやら嬉しいやら。何はともあれ本当に有難いことです。


道を歩いていると、うちの写真が掲示板に貼られていて一瞬たじろぎました。


この「にっしー」、一般的な行政が発行している広報誌とは一線を画す素晴らしい取材と編集っぷりで、読んでいて実に面白い。西区民企業である私達も知らなかった、また知ったことで誇りに思えるような西区を教えてもらえる広報誌。
今号の特集は「ものづくり王国・西区」ということで西区の鉄工、木工、工具、建築などなど、とても素敵な感じで紹介されています。



世の中を支えてきた並み居る力強いものづくり企業のなかに私達の江戸堀印刷所も紹介されていて、なんだか席汚し感もあるのですが。


また、素晴らしくプロフェッショナルな撮影技術にも驚き。当社比というか実物比というか、180%くらいカッコよく写していただいてます。
この表紙写真がどれだけ実物に比べて素晴らしいかということを確かめる意味でも、いちど江戸堀印刷所の前にお越しいただく価値ありです。



印刷屋が「紙っていいな」と言ってもそれがどないやねん、という感じですが、やっぱり紙の広報誌に掲載されると嬉しいものです。よりいっそう地域に可愛がってもらえる印刷所にしていきたいなと思った次第でした。

50年

当社の決算は9月です。
ちょうど一ヶ月前、無事49期の決算を迎えることが出来ました。
そして新しい期、50期が始まって1ヶ月が経ちます。


50期。

今までコツコツ、1年区切りを続けて50回目。


これまで会社が続いたこと、続けさせていただいたことを心から
有難いと思うとともに、これからのことを思うと身が引き締まります。

夏の節電

ご多分にもれず、大阪は今年も暑かった。8月も終わり少しホッとした気持ちです。


昨年秋に弊社は、H-UV印刷機という、UV乾燥装置を利用して刷った瞬間に印刷物が乾燥しているというタイプの印刷機を導入しました。ただでさえ、大型の印刷機を1台増設しているのに加えて、この乾燥装置が結構な電気を消費するので、今年はかなり節電するのが厳しいな−と思っていました。そこへきて今年の全国的な猛暑。


昨年はピークデマンドという、1日の電気使用量のピーク消費量を285KWに設定、これをなんとか超えないようにしましょう、ということで節電に取り組んで、見事に達成しました。ちなみに一昨年は300KW、3年前は330KW。


震災のあった2年前から節電に取り組み、

2010年:337KW
    ↓
2011年:300KW
    ↓
2012年:285KW

と順調に節電に取り組んだ効果を発揮してきました。ただ、さすがに今年は285KWは難しいかと思ったので2011年並みの300KWを目標値に。新たに設備を導入しているから、今年は無理かもなぁと思いつつ。



2年前に作った電力消費のグラフが登場、夏に入った頃に本社内全てのフロアに貼りだしてもらいました。



こうやってスタッフが毎日昨日のピーク消費を書いて消費電力を見えるようにしてくれて、そして節電に意識を高めてくれたたお陰で、この夏もなんとか目標値以内には収まりそうです。見える化すごい。
(ただ電気代自体が値上げになっているので、電気代支出ははえらいことになっているのが悲しいところ。)

高知、ペーパーメッセージ

先日、高知市の印刷会社へ見学に行きました。

その会社さん-本山印刷さん-は、本業の印刷もしっかりと営みながら、素敵な紙製品のお店、"PAPER MESSAGE"を展開されているということで、友人の友人つながりでご紹介いただいた次第。紙の雑貨販売がメインのように見えながら、個人やデザイナーさんからの印刷オーダーもしっかりと受けられているそうです。

一番驚いたのは自社のデザインから製造まで手がけたオリジナルの可愛らしい製品が沢山あったこと。言うは易しで、いくら印刷を本業であっても、これだけの数の製品を企画-デザイン-製造はなかなか出来ないことだと思うのですが、こちらはそういうハードルを持ち前の情熱でひょいと超えたところにいらっしゃる感じがします。

紙製品への愛情がたくさん感じられるお店。

高知市内に2店舗、さらには吉祥寺にもお店をお持ちだそうです。
印刷ができるということがこういう展開にも繋げられるのだというのは新鮮な驚きです。
印刷会社って、よそから見たらどこも同じように見えるのかもしれませんが、業界内にいると各社それぞれ千差万別だなと感じます・・とは言っても、その差は世の中にとってはミクロなものにしか過ぎないというのも事実。
こちらのような、ひと目で違いがわかるような社会とのつながりかた、商売のあり方もあるのだなと感心。まだまだうちもできる事が沢山あるはず。とても勉強になりました。

本と電子書籍

kindleを買いました。
本好きな周囲の方々が絶賛するので、そこまでべた褒めなら自分も、と買った次第。




キンドルペーパーホワイト


確かに良いです。思ったより読みやすいし、軽いのは助かります。どこにでも気軽に持っていけるので、本を読む量は増えそう。
金額もリアル本より安い。iphoneに入っているkindleにもダウンロードできて同期もできる、いつでも前回読み終わったところから読み始められる。メリットばっかり。

リアルな本のあり方も、この日本語たて書きで読めるkindleのデビュー以前と以降では変わっていくような気がします。このようなデバイスが今後ますます普及すれば、アナログな本の出版部数は減る方向に向かうでしょう。しかしパーソナルな出版へのハードルは電子化によって下がり、点数ベースでの出版は激増していきそう。

じゃぁアナログの本はもうダメなのかというとそうも思いません。「電子メールで手紙や年賀状が絶滅したのかというとそうではない」というのが比喩として適切かはわかりませんが、なんとなくそんな感じで本はまだ大丈夫、と思います。


kindle。本を読むには悪くないデバイスです。おそらく、テキスト主体のたて書きの本については、電子書籍との境目がなくなっていくかも。
一方で紙の本の面白いところは造本という言葉があるくらいに、色んな要素が組み合わさって一冊の本を表現できるところ。「せっかく印刷して本を作るんだったら・・」ということでもっと紙質や手ざわり、組版や装丁にこだわる人も増えそう。電子書籍の普及が、アナログの本で行う表現をもういちど進化させてゆくのかも、とも感じます。

本とウェブ

4月になりました。
当社は毎年3月が1年で一番忙しく、今はその繁忙が終わってホッと一息、というところです
この時期、当社で扱う印刷物は大学などの教育関係のお客さまから受注する、業界内では「文字もの、ページもの」と呼ばれ、モノクロのテキストが本の形に製本されているものが多くあります。

10年以上前からこういった文字中心の印刷物は、やれウェブに取って代わられるだの、電子書籍化されるだの絶滅寸前のように語られていて、その度に「ああそうか、これって今年で終わりかもね・・」と少し悲しい気分になるのですが、そうはいっても本や冊子の形の印刷物は今でもしぶとく?生き残っています。
それどころか、紙かウェブかの二者択一ではなく、逆に印刷物と電子媒体を併存させ、情報をより適切な形で流通させよう、という動きに変わりつつある風潮さえ感じます。雑な言い方になりますが「パラパラ見れるお手軽な一覧性は紙で、刻々と変わる(かもしれない)最新の情報はウェブで。」のような使い分けです。

10年前の自分は、印刷物に対してもっと急激な変化を想像していました。極端に言うと、当時印刷していたものは半減してもおかしくないんじゃないか、という位に。しかし実際は意外にその変化は緩やかで、かつ少しずつ確実に変わってきている、という印象を持ちます。



この機械、モノクロの印刷物ばっかり刷ってきて気づけばもう22歳。さすがに年ですからいろんなところが壊れたりはしますが、印刷オペレータが頑張って修理をしてくれたり、メーカーさんにメンテナンスをお願いしながら、この3月も大活躍してくれました。最新型の機械には効率では負けますが品質的にはまったく問題なし。こういう機械を大切に使っていくことも大事なことだと思っています。




よくある「紙か電子か」みたいな二元論に陥らず、それぞれその良さを適切な場所で発揮させられるような印刷会社でありたい。

ーーって書くと、ふつうの人からみたら「そんなのあたりまえじゃねーか!」となることもわかっているのですが、これが結構むずかしい。紙とインキ、製本も愛しながら、XMLcsvとも仲良く、みたいな感じです。頑張らなきゃ。