自炊サービスの進化に驚いた

「自炊」という言葉をご存じですか?
あ、もちろん自分でご飯をつくることが本来の意味なのですが、
今年は電子書籍元年。新しい意味が生じまして、


wikipedia:自炊_(電子書籍)より引用

電子書籍に関する自炊(じすい)とは、電子ブックリーダーやパソコンの利用者自らが紙媒体である書籍や雑誌をまるごと裁断機で切断し光学スキャナーを使って1ページずつデジタルデータに変換する行為を指す[注 1]。


iPadKindleといった電子ブックリーダーで蔵書を閲覧するために、自分が所有している本を断裁(本の背の部分をバッサリ)して、スキャナーで読み込んでpdfなどのファイルにして本を読むということです。


私の記憶では今年の前半、この自炊行為を代行するサービスが沢山うまれました。
そのどれもが、本1冊をスキャンしてたったの100円、という衝撃的な価格です。

このコストの安さに加え、著作権法に違反しているのではないかという声もあったため、私はこのサービスは暫くするとなくなっていくか、もしくはもう少し高めのコストに収斂していくのではないかと思っていました。


ところが。私は甘かった。
先日GIGAZINEというニュースサイトを読んでいたら、この自炊代行サービスで先頭を走る「bookscan」の進化するオペレーションについて詳しく解説されていました。

詳しくは下記記事を読んでいただければ。

GIGAZINE「本を送るとスキャンして電子書籍化してくれる「BOOKSCAN」の裏側を見せてもらいました」


素晴らしい進化。同業ではないですが日頃から紙を扱う印刷業者として、このスピード感とオペレーションを磨いていく姿勢は大いに見習わないとと感じた次第です。

話は変わって。
また、この記事を読んで思い出したのは吉野家のことです。

吉野家は牛丼の単品で勝負する単品経営で有名ですが、この記事にはそれと同じ匂いを感じました。
サービスや商品を単品に絞ることで、顧客に提供できる価値を最大化しつつ、低コストを実現する。
素晴らしい。

最近は吉野家さん、すき家に代表されるゼンショー軍団に対しては分が悪そうです。
頑張れ吉野家!頑張れ安部社長!
って全然自炊とは関係ありませんが。

中西準子著 食のリスク学

山形浩生さんがどこかの書評で褒めておられたので、全然興味がなかったのですが山形さんが褒めるのであれば、と読んでみた一冊。

サブタイトルに「氾濫する『安全・安心』をよみとく視点」とあります。

えらい勉強になりました。

単なる食の安全にかんする一冊なのですが、食に関する本ではなく、社会がリスクに対してどう考えるべきか?について書かれた本です。会社経営にも生かしていきたい示唆にあふれた内容でした。

粗いまとめ。私的に納得ポイントとしては、

  • みなさん、食の安全となると費用対効果という当たり前の話が頭から飛んでしまい、リスクはゼロ!を声高に叫んでしまう傾向がある。
  • あちらを立てればこちらが立たず、というようなトレードオフの関係は随所に見られる。一例として
    • 水道水殺菌のために化学処理を施す。→そのおかげで、発ガンリスクが発生!→みんな大騒ぎ →処理をやめる →別の菌が繁殖して病気が流行、大変なことに。

これって一瞬笑ってしまいましたが、読み進めるうち全然笑えないことに気づきます。

  • 食の安全に対してみんなが騒いでも、それに対するコスト負担は税金から。騒ぐ側も自らの財布を(直接的、短期的には)傷めないからこそ、騒げる。
  • 食の安全という話(特にガンのリスクがありますよ的な話)になると、みんな100万分の1の確率でも大騒ぎしてしまうという話。そのリスクを排除するために際限のないコストを注ぎ込む結果になる。たとえ、そのコストを他の安全(例えば交通事故)に振り替えれば、より沢山の命を救えたかもしれないのに。

これらのイシューは自分も心当たりがあるなと感じます。統計的な感覚を自分の肚に落としていかないと、自らの軸をぶらせて、おかしなイデオロギー付和雷同してしまう。

自分は日常さほど食の安全について敏感ではない。だってタバコをすっているくらいですから。そんな自分がなぜこの本に感銘を受けたかというと…

このパターンって今の世間の環境に対するスタンスととっても似ている。

そう思ったからです。

会社には営業目的の適切なお化粧や、風評被害を防ぐ努力も必要だと考えるので、弊社も印刷業界で求められている環境対応はかなり高いレベルで実施しています。(わかりやすい観点として第三者認証は複数取得しています)

しかし、その努力の中には、「この基準ってこの勢力(例えば業界団体とか)が自分の権益を守りたいからそういう論調を醸成しようとしているだけじゃないの?」と思わされることもいくらか散見されます。

真に環境負荷をかけない、ということはどういうことか?というのはよく考えないと。
答えはないかもしれません。ひょっとすると、特定の状況では印刷物は(環境負荷だけを考えると)悪でしかない、ということもあり得ます。お客様の要望には当面応えつつも、長い時間軸で見たときには、間違った方向には行ってなかった、というような舵取りバランス感覚が求められる世の中だと思います。

駐車場での愚痴

最近の駐車場は、その施設の入口近くに車椅子の人用のスペースが設けられるようになっています。

先日某所、満車に近い状態の駐車場で、年の頃なら5-60といった立派な、もちろん車椅子ではない元気なご夫婦が平気な顔をしてこのスペースに車を停めるのを目撃してしまいました。

すこし離れたところには、まだ空きスペースがあるにもかかわらず、です。

思わず、「ここは車椅子用の駐車場ですよ」と声をかけようかと思ったのですが、
相手は年長でもあることだし、無用のトラブルを避ける気持ちが勝ってしまい、断念してしまいました。

このあと、何故自分は声を掛けなかったのかという後悔の念と、何故あんな立派な夫婦が堂々とルール違反をできるのだろう、という腹立ちで、胃が少し痛くなりました。

皆さんはこんな経験ありませんか?
立派なオトナが公共のルール違反をしていたときに、カドの立たない諫め方ってどうすればいいのでしょうね。

公共性だとか民度について考えさせられた出来事でした。

プライバシーマークを取得しました

弊社、あさひ高速印刷の本社は大阪市西区江戸堀というところにあります。

肥後橋駅から徒歩10分ほどのオフィスばかりの環境で、工場は近所にあまり見あたりません。周囲はオフィスビルばかりで、弊社も見た目は普通の7階建てのビルです。、弊社にお越しになられた方々は口をそろえて、
「ええ?このビルの中に印刷の工場があるんですか??」
と驚かれます。

この建物の中で、
制作→製版→印刷→製本加工→配送
とほぼ全ての印刷物をつくる工程を社内で完結させていますので、お客様の大切な情報である印刷原稿や、作業仕掛かり中の半製品などがこの社屋の外に出ることがありません。
また同じ建物のなかで作業を行うので、間違いがあってはならない、かつ急ぎの印刷物をつくるときに、お客様が立ち会いに来られて、実際に工程をご覧いただくこともあります。

これまでも情報セキュリティに敏感なお客様からのご依頼は少なくなかったのですが、このたび実際に私たちが、お客様の情報を大切に取り扱っています、ということを外部の方々に認証していただき、プライバシーマークとして形にすることとなりました。

プライバシーマークが取得できたからといって、いきなり何かが変わる訳ではありませんが、今後もよりいっそう、お客様の大切な情報を扱っているのだという意識を高めて、気を引き締めてまいります。

トイレとユニバーサルデザイン

阪急電車の駅のトイレにて。
とびらに、このような掲示が。
 
 

これを見たとき、
「おお、郊外の駅のトイレもJapaneseやWesternといった外国人を意識した表示をするようになったのね。いいことだな」と思うと同時に、なんだか足りないような気も。
そもそも和式のトイレそのものを知らない人(外国人)に「こっちはジャパニーズスタイルだよ!」と英語で説明することに、意味がないとは言いませんが、なんだか腑に落ちない。
よく考えると、和式の便器の使い方も説明してあげないとなぁ。

外国の人がこのカタチの便座を"Japanese"だと認識しても、使い方が分からないと意味なくないですか?私たち日本人はこのスタイルの便座をどう使うか知っていますが、和式便器をご存じない外国の方が用を足そうと思ったら、どちらに向いて座ったらよいかわからないのでは?と心配してしまうのです。

私はかつて某国のローカル便座で使い方を間違えて、かなりの長期に渡って身体の向きを逆にして用を足していたという恥ずかしい経験があります。
和式のトイレって、個室にはいると奥に向かって用を足す、というイメージがありますよね。しかしアジア諸国には個室に入り、廻れ右をしてとびらの方に向かって用を足すパターンも多くあるのです。

(この話をすると、「突然人が入ってきたら、向き合うカタチになって恥ずかしくないか?」という人がいましたが、そもそもトイレに突然人が入ってくる状況というのは鍵がかからないパターンなので、入口にお尻をむけているよりかは、向かい合ってコンニチワの方がまだマシかとおもいます)

この掲示も、折角外国人を対象にしているのであれば、この方向に向いて座るんだよ、というインストラクションがあればもっといいのに。

トイレを示すサインはUD(ユニバーサルデザイン)だけど、和式のトイレそのものはUDではないですよ、と思ってしまった次第です。
くだらない話題ですみません。とても気になったもので。

IKEA鶴浜、なみはや大橋

大阪にもIKEAができて1年半くらいになりますか。

洗練されたデザインとビックリ値付けで妻をおびき寄せ、
たまの日曜日に家族で行っては、人の多さにふらふらになり、
家具を買っては、難解な組み立て説明書に悪戦苦闘したりと、
休日のお父さんを苦しめつづける存在です。



少しまえの日曜日、またIKEA鶴浜に行ってきたのですが、
あまり人の多さに腰が引け、家具選びは放棄して妻に一任、いい天気だったので私は近所を散歩してきました。


IKEA鶴浜は大正区の埋め立て地にあり、(工場萌え気味な私にとっては)周囲は素敵な埋め立て地風景が並びます。
出てすぐのところに、なみはや大橋という名前の橋があったので、歩いてみました。



いい感じの工場地帯にぐるりと回り込んだ形の橋です。(写真は大阪市のサイトより拝借)
この光景だけでかなり興奮。



自動車は有料なのですが、歩行者や自転車は無料で渡れます。IKEAは周囲に何にもなくても集客できるんだぜと言わんばかり。実際にその通りなので我が家も訪れているわけですが。



橋の上からの眺めは最高です。大正区から市内中心部が見渡せます。



最近買ったデジタル一眼に「ジオラマ」モードというのがあり、撮った写真がミニチュア風になるのが面白くて、いろいろ撮ってみました。


工場最高!

大阪市内ってちょっと走るとすぐそこが海だということを思い出す一日でした。

次はこれにチャレンジしたいと思います。

御船かもめ


小さな船で市内の川をクルーズ。楽しそう。

水都大阪

先日終わってしまいましたが、大阪では「水都大阪2009」というイベントが約2ヶ月間行われていました。

当社も中之島からは歩いて数分という立地もあり、何度かこのイベントへは足を運びました。

有名どころでは数週間の間、八軒屋浜に浮かび続けた巨大アヒル。


なんでアヒルなのかはわかりませんが、この期間はいろんな人と「アヒルみた?」という会話が弾みました。




最終日10月12日には、同じ八軒屋浜で新作能が演じられました。
山本能楽堂が主催で、大阪は淀川をテーマにした「水の輪」という作品です。

都会のど真ん中、天満橋駅の前、それも水の上に能舞台を作って演じるという凄いシチュエーションでした。
作品は、汚れてしまった淀川を水の精や川鳥たちが美しく蘇らせる、的なストーリーで、川鳥は大阪の子供たちが演じて可愛らしく、最後には平松市長が客席から立ち上がり「尽きせぬ水こそ、めでたけれー」と謡っておられたりと、舞台のおもしろさももちろんなのですが、川辺の涼しい風の中に周囲全体が素敵な調和をみせて、なんとも堪らない時間でありました。

チケットを買った人以外にも、客席の後ろの高いところから黒山の人だかりが食い入るように舞台を見入っていたのが印象的です。
なんと3000人もの人がこの舞台をみていたそうな。
伝統芸能も、見せ方や場所を工夫するだけで、これだけの関心を呼ぶのだなあと。

大阪が元気がないなどいろいろ言われますが、東京との対立軸で大阪を語るのではなく、自然や伝統的なコンテンツ、歴史ある街そのものを上手に使いながら新しいものを取り入れたりして、(お金をあまりかけずとも)いつもどこかで文化的な催しが行われている街になれば、まだまだ独自の魅力はいっぱいあるのだなと感じるイベントでした。
通天閣、たこ焼きといったステレオタイプ的大阪とは違った魅力を、地元住民として再発見した次第です。