「正しい」調達と市場について

「中国共産党政府がウイグル人に人権弾圧をしている」を理由に、欧州アパレル企業のH&Mが新疆綿の使用に懸念を表明しました。
中国国内ではH&Mや、同様に新疆綿の不使用を表明したナイキへの反発から両ブランドへの不買運動が起こり、この両ブランドが巨大市場である中国とどう対峙するのか注目を集めています。

一方日本では、ユニクロや無印良品が欧米の人権団体やメディアから、新疆綿を使っているとの批判を浴びています。
ただユニクロや無印良品は政治的な問題とは距離を置くスタンス。「うちはちゃんと監査してます。違法なサプライヤーとは取引していません」的な、実質的にノーコメントに近い形になっています。

この問題、3月くらいから記事になり始めており、まったく畑違いのアパレルの話ではありますが、個人的に関心を持って見ています。
事実も共産党の向こう側なのではっきりしない。各種報道をみていると、かなり深刻なことになっているのは間違いなさそうですが、それと綿の生産とはどれくらいの関連があるのでしょうか。


自社商品を作る上で大切な海外サプライヤーがあり、そこはコストも品質も申し分ない。長年の取引もある。しかしある時、そのサプライヤーに重大な人権問題があるかもしれない、クロに近いグレーだ、と世間で騒がれ出した。
おまけに話をややこしくしているのは、「"問題あり"と判断したので、そのサプライヤーからの調達を止めます」と表明したら、巨大市場であるその国(この場合は中国ですね)から大ブーイングがあり、今度は自社商品が不買の対象になってしまうのが簡単に想像できてしまう、ということ。共産党の敵になった瞬間、中国ではやっていけません・・的な。
これがカンボジアからの調達だったら悩まないでしょう。市場が小さいですから・・・
あれ??、ってことは”正しさ”といっても最後は市場規模や売上と天秤にかける問題なの?


海外との取引もなく、ほぼBtoBの商売しかない印刷会社とは全く遠い話ではありますが、仮にもこれからはSDGsが大事ですーなどと言うつもりであれば、こういった問題に対して自分なりの意見、スタンスは持っておかないといけないと思うのです。

もし私が上記のような消費者向けブランドの経営者で、おまけに中国市場から大きな売上を得ていたら、正直言ってH&Mのような行動にはでられない。二の足を踏むだろうなと思います。ヘタレ経営者か、と石を投げられるかもしれませんね。
一消費者としては、今回のユニクロ、無印の対応には少しがっかりでしたが・・経営者としては苦渋の決断なのだろうなと理解もできます。

もしこれで、ユニクロ、無印には失望した!ってことで日本の消費者が不買運動を起こしたりしたらどうなるのかな(可能性低そうですが)、などとも想像してしまいます。

どうなんでしょうね?どうするべきなのでしょうか?答えは状況によって沢山あるような気がしますが、考え続けなければいけない問題だと感じていますし、今後も注視していきたいテーマです。