9月の終わりの週末、新しいPOD(プリント・オン・デマンド)デジタル印刷機の搬入作業がありました。
富士ゼロックス、Iridesse Production Press(イリデッセ・プロダクション・プレス)。
初めてのPODデジタル印刷機(以下デジタル印刷機)を導入したのが2004年。ゼロックスのF1100というモノクロ機でした。
そこから、それまで工場の片隅にちょこんといたこの機械の後には、カラー機、より高速なモデルといった新しいデジタル印刷機が少しずつ増えていき、とうとうフロアを埋め尽くすようになりました。
お客様からのご注文が小ロット多品種・短納期化し、また可変データへの対応といった要請にも応えるためにもデジタル印刷機の導入が続くのは半ば使命だと感じています。
とはいえ、この15年あまりで導入したデジタル印刷機を頭の中で数えてみたらゾッとしました。
デザインカンプの出力に使用するものを別にして、純粋に印刷生産に使う機械だけでもモノクロ機が6台、カラー機が7台をこれまでに導入しています。
しかし、現在工場で稼働している機械はモノクロ機2台とカラー機4台。モノクロ機4台とカラー機3台はすでに姿を消しています。
多くの高額のデジタル印刷機が、より速くて綺麗な印刷を可能にするモデルの登場と導入によって、どれもまだ十分に動く能力を持ちながらお役御免となり入れ替えられます。
メーカーさんも、7年を超えるとサポートがなくなりますよ、といってより最新機への入れ替えを勧めてきます。いくらまだ動くからといっても部品供給が終了してしまっては安定した生産は不可能ですので新台導入を、となりあとはこの繰り返し。
一般的なオフセット印刷機が、初期導入費用こそデジタル印刷機の何倍もする価格帯だったりする分、10年以上の稼働を考えて作られているのとは違い、デジタル印刷機はやや消耗品寄り。
当社のオフセット印刷機は新品でも中古品でも購入してからメーカーさんのサポートを受けながら20年は余裕で活躍してくれます。テレビや炊飯器だって10年以上使ったりしますよね。という意味では、POD機は炊飯器よりはパソコンに近いのかなと思うと悲しくなります。
いや「パソコンがあかん」、という意味ではなく短期の買い換えを前提とした消費のサイクルにがっつりと組み込まれて、より高性能なものを買い換えなければならないこの現状、なんとかならんのかいなと感じてしまいます。なんともならんのかな。
とはいえ、新しく当社に来てくれたマシン。ここ数年とても頑張っているPODチームのスタッフと話していると、このマシンでこういう風に仕事を回そう、こんなこともできそうだ、と会話は弾みます。また新たなものづくりの可能性が広がることを期待して大切に使っていきたいと思います。