SDGsセミナー

今週の水曜日、大阪府印刷工業組合主催で大川印刷、大川社長の講演会がありました。

大川印刷さんは横浜の印刷会社で、印刷業界内にとどまらない、日本の中小企業の中でもトップレベルでSDGsに取り組んでおられる会社として有名です。

大川印刷さんがどれくらい有名かを感じる個人的な体験。SDGs関連のセミナーでスピーカーをされるような方と私が名刺交換をするシチュエーションがこれまでに3度ありました。3名の専門家と、別の時期、別の場所での名刺交換です。
その3名の方々、名刺交換して私が印刷会社経営と分かった瞬間、異口同音に「大川印刷さんをご存知ですか?」「印刷会社だったら大川印刷の取り組みを学ぶといいですよ」と私にアドバイスをくださるくらいに有名。

90分の講演、徹底的に全社レベルで継続的に取り組まれている活動を大川社長からお聞きすることができたのですが、まぁこりゃすごいわ、と感銘を受けるポイントがいくつもありました。
その中でも、これは私たちももっとしっかりやらないと、と刺激を受けたのがこれ。

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SDGsの目標12、「つくる責任、つかう責任」


ものづくりを中心に据えて商売をしている以上、まずここが一丁目一番地だとおっしゃっているように感じました。

当社もグリーンプリンティング認証を早くから取得したり、森林認証紙FSCをできるだけ多く使うようにお客様に働きかけたりしているのですが、大川印刷さんの取り組みを拝聴すると、まだまだのレベルだと感じます。
使うインキ、用紙、作り方を含めて、気づきをいただくことができたセミナーでした。

小口への装飾

本のなかみ、本文とか本身と呼ばれるのですが、これらはすべてのページが違うわけなので、うまくレイアウトを工夫できたら見せ方がいろいろと面白いことができるのでは、と思っていました。
例えばすべてのページに、少しずつ違う絵を配置することでパラパラマンガにすることも簡単にできると思います。(いずれ紹介します。)

今回は、ページのの小口部分に、縦にスライスされた文字の断片を少しずつずらせながら配置することで、文字を表現しています。
次の写真は4年前にミシマ社さんの「みんなのミシマガジン」で実験したもの。

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背表紙ではありません。小口です。
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ぎゅっとページを押さえるとこんな感じ
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中味はふつうの本文です


4年前の試みですが、なんだかこの技法(何という名前かは知りませんし、調べてもわからない・・)が好きで忘れられず、もっと簡単に表現できないだろうかと思っていました。
いちいち手作業のDTP作業で行っていると手間と時間がかかって仕方がありません。そこで、いろいろとツールを使い工夫してもらって、作り方を標準化し、半自動で作れるようにしてもらいました。
前にもありましたが、こういう一見くだらない技法の開発にも馬鹿にせずに真剣に取り組んでくれるうちのスタッフ、最高です。

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これが何の意味があるの?と聞かれても、うーん。あまり意味は無いかも笑。
だけど、この技法によって背側から見ても小口側から見ても、本のタイトルが読めるって何か面白いとおもいませんか?

いずれ、名前をつけて世の中にひっそりデビューさせてやりたいな、と思っている技術のお話でした。

退色見本

当社工場前、迷惑なことにタバコのポイ捨てが絶えません。

ということでポイ捨てしないでください、と張り紙をしているのですが、これが見事な退色の見本となっていました。

黄色や赤色は太陽に当たると色褪せる、というのが退色です。これで3年もの。

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左が今年のものなので、比較するとよくわかります。今度は素材別、ラミネート有無で実験してみます。

 

「正しい」調達と市場について

「中国共産党政府がウイグル人に人権弾圧をしている」を理由に、欧州アパレル企業のH&Mが新疆綿の使用に懸念を表明しました。
中国国内ではH&Mや、同様に新疆綿の不使用を表明したナイキへの反発から両ブランドへの不買運動が起こり、この両ブランドが巨大市場である中国とどう対峙するのか注目を集めています。

一方日本では、ユニクロや無印良品が欧米の人権団体やメディアから、新疆綿を使っているとの批判を浴びています。
ただユニクロや無印良品は政治的な問題とは距離を置くスタンス。「うちはちゃんと監査してます。違法なサプライヤーとは取引していません」的な、実質的にノーコメントに近い形になっています。

この問題、3月くらいから記事になり始めており、まったく畑違いのアパレルの話ではありますが、個人的に関心を持って見ています。
事実も共産党の向こう側なのではっきりしない。各種報道をみていると、かなり深刻なことになっているのは間違いなさそうですが、それと綿の生産とはどれくらいの関連があるのでしょうか。


自社商品を作る上で大切な海外サプライヤーがあり、そこはコストも品質も申し分ない。長年の取引もある。しかしある時、そのサプライヤーに重大な人権問題があるかもしれない、クロに近いグレーだ、と世間で騒がれ出した。
おまけに話をややこしくしているのは、「"問題あり"と判断したので、そのサプライヤーからの調達を止めます」と表明したら、巨大市場であるその国(この場合は中国ですね)から大ブーイングがあり、今度は自社商品が不買の対象になってしまうのが簡単に想像できてしまう、ということ。共産党の敵になった瞬間、中国ではやっていけません・・的な。
これがカンボジアからの調達だったら悩まないでしょう。市場が小さいですから・・・
あれ??、ってことは”正しさ”といっても最後は市場規模や売上と天秤にかける問題なの?


海外との取引もなく、ほぼBtoBの商売しかない印刷会社とは全く遠い話ではありますが、仮にもこれからはSDGsが大事ですーなどと言うつもりであれば、こういった問題に対して自分なりの意見、スタンスは持っておかないといけないと思うのです。

もし私が上記のような消費者向けブランドの経営者で、おまけに中国市場から大きな売上を得ていたら、正直言ってH&Mのような行動にはでられない。二の足を踏むだろうなと思います。ヘタレ経営者か、と石を投げられるかもしれませんね。
一消費者としては、今回のユニクロ、無印の対応には少しがっかりでしたが・・経営者としては苦渋の決断なのだろうなと理解もできます。

もしこれで、ユニクロ、無印には失望した!ってことで日本の消費者が不買運動を起こしたりしたらどうなるのかな(可能性低そうですが)、などとも想像してしまいます。

どうなんでしょうね?どうするべきなのでしょうか?答えは状況によって沢山あるような気がしますが、考え続けなければいけない問題だと感じていますし、今後も注視していきたいテーマです。

梅田

緊急や警告をあらわす赤という色。
いまは緊急事態なんですよ、ということを表現するために赤い色をビルの上にともす。

それがまだ目あたらしく、また短期に一気にハンマーを叩く意味で使われるのであれば有効だと思います。
けれども・・・
今はなんだか「また赤いな、まだ赤いな」程度にしか認識されていないような。

早く収束してほしいものです。

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昨日の梅田。阪急百貨店ビルです。

製本の実験。木の板の表紙

印刷物を本の形にするにはいろいろな方法があります。
主にホチキスを使った中とじ、書籍でよく使われている無線とじ、ハードカバーとも呼ばれる上製本、あたりが一般的でしょうか。

で前から思っていたのですが、ハードカバーっていうぐらいだから、本当に表紙をどこまでハードに(堅く)できるんだろう、という興味がありました。

というわけで、ホームセンターで木の板を買ってきて、それを無線とじにできるか?という実験をしてみました。

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木と木で紙を挟んだ形
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版画に使う板のようです。厚さ4ミリ
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小口を断裁するのが無理だったので最初からジャストサイズで紙を切ってから木で無線とじをしました
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すっごくキレイに開きます

あんまり実用的ではありませんが、こんなこともできちゃいましたよ、というネタでした。
こういうことに一緒に面白がって実験をトライしてくれる当社の製本現場、手前味噌ながら最高です。

コロナ2年目

今日、3月が終わり、明日から新しく年度を迎えるわけですが、大阪のコロナ感染者が599人と全国で一番になってしまいました。
近所の靱公園では、暖かい日差しの下で、学生さんやママたちがお花見をしています。これだけ見ると平和なのですが。

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靱公園。むこうに大阪科学技術館が見える。緑と科学のコントラスト、気に入っている風景です。