コピーと本、梱包と表紙

3月。大阪は緊急事態宣言が解除されました。とはいえ、大阪市は飲食店営業は9時までで完全に元に戻るにはまだ遠い感じがします。大阪市を少し外れた江坂(吹田市)なんかの飲み屋さんは盛況だそうで、もう自粛にも疲れたわ、という雰囲気もちらほら感じます。五輪開催や海外からの受け入れはどうなるのでしょうね。

あたたかくなってきたので、近所をウロウロすることも増えました。
いつもお世話になっている近所の本屋さん柳々堂をのぞくと、面白い本との出会いが。

博報堂が出している雑誌「広告」。

昨年に発刊された号は特集が「著作」。
ホンモノとニセモノの境界について、やオリジナルはどこまでオリジナルなのか、的な記事が多いのですが、製本がカッコイイ。
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コピー本です。

最初見た時に、なんでこんな汚いコピー本が書店に並んでいるの?と手にしたら、これが立派な雑誌ということで即購入。
定価200円って!今どき無いでしょ。

これ、実は特集が著作なだけにあえてこういうことをされたのだと思うのですが、オリジナルが別に存在する。そちらは定価が3,000円。

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本が2種類。ホンモノ的なやつとコピー本的なやつ。

オリジナルの方は入手していないので内容にどんな差異があるのかはわかりませんが、格好いい。


ちなみに、最新号も勢い余って購入。最新号の特集は「流通」。

で、製本はこちら。アマゾンの段ボールを模したパッケージにくるまれています。

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開くと、段ボールがそのまま表紙になっているという奇天烈な製本。

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いままでは「デザインのひきだし」でしか奇天烈な製本は見ることがなかったので、これはこれで新鮮なおどろき。

こういった、内容にあわせて製本に工夫をこらすのって実に格好良いと思います

魯白菜

冬。お鍋を食べますよね?

以前、ピェンローという妹尾河童氏が日本に紹介した鍋について書いたことがあるなーと思って調べたら、12年前に書いたエントリーでした。
このブログ、気づいたら10年以上書いているようです。自分でもびっくり。当時はピェンローといっても誰も知らなかったけれども、今ではわりとポピュラーな鍋になりましたよね。


お鍋礼賛 - 【仮称】江戸堀日記

現在50歳の私が38歳だったときの記事。自分の昔の文章を読むのはいたたまれません。まるで録音した自分の声を聴くときの嫌な感じ。
お恥ずかしいけれども、この頃から何も進歩していない自分を痛感します。

相変わらず冬場は鍋が好きなのですが、この頃から年を重ねた分だけ、今年は新しい白菜鍋と出会うことができました。

www.hotpepper.jp

今年の冬はこれの中毒です。すでに10回以上作っています。家には中華の干しエビが常備されるようになりました。
ピェンローも大好きなのですよ。ただピェンローというシンプル極まりないお鍋も、この魯白菜を食べると、着飾った感じがしてしまう。魯白菜は驚くぐらい超シンプル。作るのもカンタンで、とにかく白菜がおいしい!

メニューは我が家では進化しましたが、自分の思考の枠組みは12年前からあまり変わっていなのが悲しい。
けれども新しいレシピを美味しくいただけること、健康であることには本当に感謝です。

リセットの機会に。

緊急事態宣言、大阪でも当初に言われていた2月7日には解除にならずにまだ継続しています。
武漢で新型が・・とかダイヤモンドプリンセス号が横浜で・・とかの騒ぎからちょうど1年が過ぎました。
当時はこの感染症騒ぎが1年を超えるなんて思ってもおらず、夏が来たら感染者が少なくなって・・と思っていましたが甘すぎる見通しでした。



商売もこの影響を受けないわけがなく、年末から期末の三月にかけて繁忙期を迎える例年とは違い、少し寂しい昨今です。




こんな時こそ、これまで手をつけられていなかったことに手をつけたり、何かをリセットしたりする絶好の機会。
ということで、製本と印刷のスタッフたちが、本社ビルの地下一階倉庫を大掃除してくれました。




当社ビル、築30年以上とまぁまぁ年期がはいっています。
30年以上の澱が溜まったような地下一階倉庫。いろんな資材や在庫が置かれているのですが、モノが置かれ続けると下の方には古いモノがたまって処分されないまま。
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これを何日もかけてここまでキレイにしてくれました。


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印刷インキや交換用のローラーがキレイにおかれてスッキリ。

このビフォアアフタ-、写真ではなかなか伝わりませんが、私がこれを見せてもらった時には感動で背筋がゾクゾクしたことを覚えています。



例年だったら気にならないような「今までどおり」を見直し、スタッフたちが断捨離を断行してくれました。

数は少ないですが「コロナ禍のおかげ」事例。考えかた・動きよう次第では悪いことばかりではありません。

森林認証の更新、使う素材について

前回、社内でSDGsについて外部講師を招いて勉強会をしたと書きました。

その数日後、当社が認証取得している森林認証、FSCの更新審査がありました。
監査機関であるSGSジャパンの方が実際に来社されて、当社の場合はCoC認証(Chain of Custody)といって、加工流通過程の管理がちゃんとできているか、ということを中心にチェックしていただきました。更新は問題なく完了しました。

今回の更新を終えて感じたことなのですが、私たちが印刷に使う材料についての関心ががコロナ禍以前よりも高まっている気がします。

紙やインキ、印刷に使うプレートなどの主材料については、当社の考える基準は現時点のベストなものを提供できていると思うのですが、ひとつ頭を悩ませている問題があります。

それはPP(ポリプロピレン)フィルム。
主に表紙の保護に使う紙に貼り付けるフィルムです。印刷後の紙にフィルムを貼付することで表紙を汚れや破損から保護すると同時に、印刷に光沢を与えて見栄えがとても格好良くなる効果もあります。
本屋さんにならぶ本の表紙カバーでは、しばしばPP加工が施されています。
当社でもデジタル印刷の後加工で、それぞれ光沢が違う「グロスPP」や「マットPP」がよく使われています。

これが脱プラの流れ的に「あり得ない!」という声を耳にすることが増えてきたように思います。


最近読んだ面白い本。
www.asahipress.com


著者の佐久間裕美子さん、この本の中では言及されていませんが以前聞いたポッドキャストで、
「本にPP貼っているなんてあり得ない!」的なことをおっしゃっていました。アメリカ在住の方で、ああ、アメリカではそういう空気になっているのならば日本もそのうち・・と感じます。

ユニクロがウルトラライトダウンのリサイクルを大々的に行ったり、パタゴニアが「フリース買わないで!」と言ったり。
製造メーカーが使う材料や作り方には、これまで以上に知らないでは済まされない、となっていくと感じます。

2021年年明け。SDGs勉強会

あけましておめでとうございます。

新しい年がスタートしました。
大阪でも緊急事態宣言が発令されこれからどうなるのかと心配ではありますが、できる限りの対策を施しながら操業しています。

今日は外部から講師をお招きして、あさひ高速印刷の営業部、製造部そしてアサックのメンバーを対象にSDGsの勉強会を開催しました。


以前から「環境に配慮した印刷ってどんなの?どんなマークがつけられるの?」という問い合わせが増えてきているのを実感していますが、昨年から急に、「環境負荷の少ない印刷」がSDGsの枠組みから語られることが増えたような気がします。

どんな紙を使えば森林破壊にならないの?どんな製版方法が環境負荷が少ないの?インキは?VOCは?加工方法は?・・・

こうやって印刷物の材料や作り方に感心をもってもらえることは嬉しいこと。だからこそ、作り手としての正しい情報の提供と、時には政治的な判断になりがちな環境問題について情報収集することを止めてはいけないと思っています。f:id:okatat:20210115205825j:plain

2020年末

ほんまに大変な一年でしたが何よりも現在進行形で大変だなと思うのが、いまトンネルのどこら辺に私達がいるのかが誰にもわからないところです。日本だけでなく世界中で。

こんな、よくわからん状況のときは掃除にかぎると、例年よりは真面目に江戸堀印刷所の窓拭きをやりました。

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頑張らないとあかんのは新しく迎える年もこれまでと同じ。来年もしっかりとやりたいと思います。

日めくりカレンダー熱

年末、いただきもののカレンダーが周囲にあふれます。
多くはマンスリー、毎月1枚ずつめくるタイプでサイズもデザインもさまざま。
当社も名入れカレンダーの通販をやっているので、マンスリーカレンダーのたくさんの注文を頂きました。

そんな私が、お客様の要望とは全く無関係に、私が作りたいから作っている、いわば偏執的に試作し続けているカレンダーがあります。

それは日めくりカレンダー。

それも、日本の伝統的な、昭和なお米屋さんや酒屋さんが配るような日めくりカレンダー。
以前、このブログでも紹介した
oka.hateblo.jp
これも、日めくりカレンダーへの偏愛から。

アサックでは来年分もすでに発注済み。

これはこれでいいのですが、どうせなら私たちでもこれ風の日めくりカレンダーを作りたい。自分たちの手で。
仕入れは紙だけ、あとは組版も印刷も製本もなにもかも、自分たちの手で。
とはいえ、結構ハードルが高い。

今年の年末までにはなんとか形にしようとスタッフにも頑張ってもらったのですが、まだ完成には至っていません。

組版は曜日、二十四節気そして六曜はもちろん、なじみのない旧暦や九星など正直よくわからない要素がてんこ盛り。
これを365日分並べて組版するのはもちろん大変。
データができあがっても、純白ロールという名前の、あのペラペラの薄い紙は印刷機を通ることを拒むし、
これをきれいに製本するのは一筋縄ではいきません。
製本するだけでなく、完成した後に一枚一枚がパリッと気持ちよくちぎれなければ落第です。

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今日の時点ではここまでできあがりました。まだまだ商品として世に出すには課題だらけ。
「こんなの欲しい人がいるのか?」という声にはあえて耳を貸さず、カタチになるまで頑張ります。

来年には(買う人がいるのかどうかは別にして)必ず商品化させたいと宣言しておきます。