日めくり。1年の半分経過です。

6月30日になりました。1年の半分が過ぎたことになります。

私の、”日本の伝統的な日めくりカレンダー”への偏愛が高じて、当社で細々と開発をつづけている日めくりカレンダーも、横からみるとキッチリと半分になりました。耐久テストも兼ねて毎日めくっています。

7月を前にして、カレンダーの紙の厚さが半分になったわけですね。見たまま、とてもわかりやすく、日めくりカレンダーを愛してしまうポイントのひとつです。

A6サイズの日めくり



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それとミシン目の工夫で、毎日めくっていくと溜まりがちな"ちぎりカス"はいっさいでない、というところも個人的に気に入っています。

 

下の写真。こちらはタテ6cmくらいのちっちゃい日めくり。マッチ箱を横に並べてます。

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私たちのこのヘンテコな製品、需要はあるのかなとちょっと不安でしたが、ちょこちょこと引き合いもいただきながら受注に至ったものもあり嬉しい限りです。

 

RGBデータからのデジタル印刷

個人で写真を仕事や趣味にされている方から、写真集の印刷・製本を依頼されることがよくあります。

データの入稿にあたって、デジタルカメラの撮影はRGB(sRGBやAdobeRGBなど)で入稿され、それを私たち印刷会社側でCMYKに変換、印刷するというのが通常の流れとなります。

RGBからCMYKにデータを変換して印刷する際にどうしても元のRGBで撮影したときの色と印刷物の色が合わないという問題が発生してしまいます。そのため、印刷のシミュレーター的なインクジェット印刷機で色校正をしたり、実際に本番で使用する印刷機で本機校正をしたりして、データを補正してイメージ通りの色で印刷できるようにする、ということを行います。

以上はオフセット印刷機を使う写真集の色校正から印刷の流れ。オフセット印刷なので少なくとも千部前後以上の部数があれば、こういう流れになります。ではもっと小ロットだとどうするのか?となると登場するのがデジタル印刷機。

数十部といった少部数、コストを考えるとオフセット印刷では考えられない部数でも印刷できる、というメリットは以前から変わらないのですが、近年のデジタル印刷機の進化により、印刷データや印刷する紙との相性次第ではデジタル印刷の方が美しく印刷できる場合もある、ということもわかってきました。

おまけにRGBデータをCMYKに変換してという工程をすっ飛ばして、RGBデータをそのままデジタル印刷機に入力して印刷、という機能も備えるようになっています。

 

sRGBデータやAdobeRGBで撮影された建築写真のデータを使って、RGB入稿のデジタル印刷写真集をつくってみました。社内で評価してみたのですが、予想以上にキレイな写真集となりました。

表紙は同じ紙。製本も同じヨコ型A4。本文を3種類の紙で印刷しました。



この写真では全然わからなくてスミマセン。いちおう上からOKトップコート(コート)、エアラス(ラフグロス)、サテン金藤(マット系)です。甲乙付けがたいどれも素敵な仕上がり。

オフセット印刷の苦手な小ロット領域の代替として捉えられてきたデジタル印刷ですが、すでにオフセット印刷の実力を超えはじめていることを実感します。

 

 

温度・湿度管理の見える化

印刷現場、紙を扱うにあたって温度・湿度管理は必須です。梅雨時は湿度が高くやっかいなのですが、それよりも冬場の乾燥が大敵。紙は生き物ですよ、とよく言われるのですが、乾いた空気に長時間さらされた紙が、水を使うオフセット印刷機を通ることで伸縮をおこして様々な品質トラブルが発生します。
そうならないように、巨大な加湿器や温度湿度計を工場に配置しているのですが、それでも困ったことが。
冬場の工場、午前中は温度が下がりきっているので暖機運転が必要。暖房を十分にきかせて室温が上がると今度は湿度が急激に低下します。さらには、北側の壁に面している場所、換気扇に近い場所、出入り口に近い場所、といった工場内の場所によっても温度変化がそれぞれ違ったり。このように工場内での温度・湿度の急激な変化があることで、どこをどう対策すればトラブルの起こりにくい工場環境になるのか、というのは悩みのたねでした。

そこに(株)リコーさんから朗報が。とっても賢い環境センサーが発売されたのです。
固体型色素増感太陽電池 RICOH EH 環境センサーD201/D202 | 環境発電技術 | 産業向け製品 | リコー

ひとつのセンサーモジュールが1万円台。これで温度湿度が24時間365日計測できるという優れもの。
なんといっても、電池が不要というのがすごい。
このモジュールがbluetoothでタブレットとリアルタイムで交信、wifiで繋がったPCに温度湿度変化を記録しつづけてくれます。

工場内の環境改善のためには、正しい計測が肝となります。
いままではなんとなく「12月から2月の夕方が一番湿度が下がりやすいかも?」という感じのフワッとした印象でしかわからなかった空気の変化がすべて把握できるようになるのです。リコーのIoT万歳!と叫んでしまいました。

右上の正方形の小さな四角形がこの製品です。太陽光パネル付きで給電不要ってすごい!

ということで10台以上購入を決め、現在テスト運用中。同業者の方、本当にオススメです。

白髪と雀

頭髪の白黒比率が、加齢とともに少しずつ白髪優勢に傾きつつあります。

ところで。

先日、会社の近所を電話しながら歩いていると突然スズメが私の頭部に飛んできて、約30秒ほど滞在しました。もちろん人生初の体験です。頭皮にスズメの爪先を感じられるなんて、ちょっぴり幸せ。

人に話すと「巣作りのための枯れ枝と間違えたんじゃない?」と言われました。なるほど。

「スマホ2台持ってなかったら電話しながら自撮りはできなかったよね、よかったね。」とも。なるほど。

以来、スズメを見るとこっち来ないかな?と少し期待するようになりましたが、もちろんこれっきりの体験です。どうでもいい話ですが。


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紙の捨て方

耐水紙であるユポを印刷することが増えてきています。用途としては、冷凍食品の包装紙やお風呂ポスター、防災カードなど。

筆記適性もよく選挙の投票用紙にユポが使われているというのは有名な話。折っても投票箱の中で自然に開いてくるので、集計作業が楽になるそうです。

このユポ、樹脂からできた合成紙です。パルプからできた紙ではありません。しかし見た目も筆記適性もとっても紙に近い。

先日、ユポと製本糊の適性を試すため、ユポのメモ帳を作ってみました。紙ではありませんから、糊を使ってもくっつかなかったり、接着を強くすると今度はちぎれなかったりとか。世の中で販売されているユポのノートやメモ帳はほとんどがリング製本なのはこういう理由なのですね。

 

ところで、このユポは筆記適性が良いので書いているとユポであることを忘れて、ぽいっと紙と同じように捨てそうになりハッとして、あ、これはプラスチックと同じ扱いだったわ、と分別して捨て直します。

これって、私はユポが石油由来であることを知っているから分別回収をしようと思いますが、一般ユーザーはそんなことご存じないんじゃないかな?

世の中のユポ製品、意外と「捨て方」まで書いてあるものって少ないのです。ほんまにこれでええんやろうか?と個人的には疑問に感じています。なので当社ではユポを選ばれるお客様には捨て方の注記も含めてデザインされることをお勧めしています。

決してユポはダメな合成紙だ、といっている訳ではまったくなく耐水紙としての実力はすばらしいものがあります。古紙流通にはのっけられないだけで、正しく捨てればプラスチックよりも焼却炉の負担も少ない、とユポコーポレーションさんのウェブに書いてあります。

japan.yupo.com

紙の捨て方、海洋プラスチックの問題が取りただされる昨今、とても大切で印刷会社もしかりと調べないといけないなと感じます。

 

ちなみに、当社では耐水性能の必要な本、ノートやメモを作る際は、完全な耐水紙ではありませんが、十分な撥水性のある「OKレインガード」を一押ししています。筆記適性も十分で、紙として捨てられます。

 

こちらのサイトも非常に参考になります。新潟の田村商店さん。

合成紙・ユポ紙とは。耐水性、デメリット、印刷や種類など詳細を解説! | 機能紙選定ナビ

【2023年 最新】耐水紙・撥水紙|水に強い紙・水をはじく紙をご紹介 | 機能紙選定ナビ

 

nest

4月になりました。お昼時は上着を脱いで歩いている人がほとんど。
今日も暖かい。お昼休みに近所の喫茶店、nestに行ってきました。とても久しぶり。

京町堀の「nest」。昭和純喫茶好きな人たちが、わざわざ遠方から来られるくらいの超有名な店。
半世紀以上にもなる歴史に加えて、昭和30~40年代宇宙的内装はものすごくカッコイイ。

コロナの間はあんまり営業されていなかったようなのですが、最近また店が開いているのを目にするようになりました。
おばちゃん曰く、京町堀・靱公園界隈が今のように栄える遙か前から営業されていて、当時このあたりにはまだ柳々堂(本屋)さんくらいしかなかったそうです。
いまでは洒落た店もどんどんと増えているこの界隈で貴重な歴史ある喫茶店です。


メニューはコーヒーのみ、営業はお昼の1時間だけ。
最近は月曜~水曜しか営業されていないようです。1週間で3時間しかオープンしないレア喫茶店。

「喫茶nest」のロゴ。たまりません。

こういうお店が街にいい感じの潤いを与えてくれていると思います。この先もずーっと続けて欲しい地元のお店です。

ミシン目愛好家のための新聞

印刷に施されたミシン目加工、これをピリピリとちぎるのが好きな人は多いのでは、と勝手に思っています。
個人的にもミシン目(とそれをキレイにちぎること)は大好き。ミシン目がやたら縦横に入ったメモ帳を作ってはピリピリと破って遊んだこともあります。

しかしミシン目が印刷物の主役になる機会は少なく、チケットや伝票印刷、ときどきカレンダー、ぐらいでしか登場しません。
いわば印刷物の脇役なのに、ちぎりにくければ全く意味をなしません。当社は、私がミシン目好きのせいもあり、ミシン目のちぎりやすさには結構こだわっている方かと思います。当社では紙質や紙厚にあわせて最適なミシン目がいれられるように、いろんなピッチのミシン加工をできるようにしています。

このいつもは脇役なミシン目加工、このたび準主役くらいの立場で登場させることができましたのでご報告。

京都の素敵な出版社、ミシマ社さんのサポーターをしている関係で、定期的に「ミシマ社サポーター新聞」の印刷を手がけています。
ミシマ社さんからは、「何か面白い加工や印刷があったら実験でもかまわないので提案してくださいね!」とありがたいお言葉をいただいています。
調子に乗ってつくった「ミシマ社サポーター新聞」、なんと新聞紙面をミシン目で埋め尽くすことに。

B4ペラの両面にスミ単色の印刷。
こちらが表面。


こちらが裏面。


写真ではわかりにくいですが、この裏面のレイアウトにあわせて、ミシン目がタテに5本、ヨコに7本はいっています。


「今日のおやつ」という記事で、全国のミシマ社サポーターの方々がご当地のおやつを投稿された内容がブロック状に編集されています。
このブロックにあわせてミシン目を入れているわけですが、これをピリピリとちぎって束ねると、こうなります。

本っぽくなりましたね(笑。

それがどうした?何の意味があるねん?と言われたらそれまでですが、ミシン目好きにはこの紙面でピリピリと何度もちぎれる楽しみがあるのでは?と思ったのです。
なんだこれは?!とお怒りのコメントもあるかと思いきや、さすが寛容なミシマ社サポーター。おおむね好評だったようで安堵しましたし、またやはり私たちと同じようにミシン目愛好家はたくさん(かどうかはわかりませんが)いらっしゃったことが確認できて、私たちとしても嬉しい印刷加工体験となりました。